片瀬山50年 これまでの街並み維持とこれからの街の姿
片瀬山では建築物に対する各種の規制があります。法や条例に加えて、住民の合意によるものがあります。ある程度の私権の制限を受け入れるという住民の意志が継承されてきた事で、閑静な街並みが50年保たれてきたのも確かです。実際、規制のない藤沢の他地域では合法ぎりぎりの細分化が進み、特徴ある街並みが失われてしまった地域もあります。一方で、これが制約となって若返りが進まず街としての活力がなくなる という声もあります。しかし実態として片瀬山においては、規制を維持した中でも順調に新しい住民の方が増えてきています。こうした新たな住民の皆様にも規制について認識を深めて頂き、今後の「住みよい街」の姿を考える議論に参加して頂きたいと思います。
また一方でそうした努力を尊重する事なく、「法的規制外」「利益追求は当然」「社の方針」といって、周辺状況を無視した分割を強行する事で利益を得る不動産業者が出現しているのも事実です。これに対しては今後自治会として適切な対処を検討していく事になります。
各種建築規制の枠組み
片瀬山全域は都市計画法等に基づく市の指定により「風致地区・第1種低層住居専用区域」となっており、すべての建物にこの規制がかかります。これに加えて、「建築協定」と「申合せ」(いわゆる50坪規制)があり、これは手順を踏んで住民間で締結された協定や申合せです。市のホームページにも掲載され、参加した住民地権者や、多くの不動産業者の皆さんによって尊重されてきました。規制のかかる範囲とかかり方、継承時の扱いが異なります。内容が混同されやすく、よく確認して頂く必要があります。またこれらに加えて500㎡以上の土地については「開発事業」としての規制が加わります。
片瀬山での規制概要(詳細は後にリストする「詳細資料」を参照してください)
規制の主体や手続き
建築協定・敷地申合せを運営管理するための2つの委員会組織
規制の適用範囲の概要
規制の適用区画かどうかの確認:建築指導課HP内 「建築協定について」より引用
建築指導課窓口に備え付けの端末もしくはインターネット公開サイト「ふじさわキュンマップ」の中にある「まちづくり情報」にてご確認ください。赤枠で囲まれた区画が建築協定締結区画です。
不明な点は建築指導課窓口にて職員にお問い合わせください。また、建築協定委員の連絡先については建築指導課までお問い合わせください。
上記の規制に関連する詳細資料
・風致地区・第1種低層住専地域の規制
風致地区の手引き(藤沢市発行 規制の詳細と手続き等)
第1種低層住専地域の規制(参考 横浜市の解説資料から)
・建築協定
建築協定とは (藤沢市の解説書類PDF)
片瀬山の建築協定内容一覧(各地区の協定文表示)
・片瀬山の土地・建物にかかわる申し合わせ事項:いわゆる50坪規制
・建築計画概要書の閲覧について
:建築申請時の計画書は藤沢市の建築指導課で閲覧できます
開発事業についての規制 (開発業務課担当)
藤沢市においては、500㎡以上*の敷地の区割り変更を含む宅地造成は開発事業として様々な規制があります。(*面積以外でも該当項目あります)
(例:2区画以上を使った宅地造成等)
特に重要な規制(開発事業での)は、
・最低敷地面積(風致地区)規制
・事前説明会 です。
藤沢市においては、条例によって事前に予告版を設け一定期間以内に近隣住民から説明会開催をもとめられた時事業者は説明会開催の義務があり、その質疑の模様等も市に報告する必要があります。
問題があると思われる情報を入手した場合は、近隣住民や規制関係委員・担当役員等の皆さんは期間内に説明会を求める等の具体的な行動をする必要があります。詳細資料を以下に示します。
藤沢市における開発事業申請許可のフロー
同 住民周知手続きの概要
同 住民周知手続きの詳細
説明等周知手続きの経過報告書記入例
新たな枠組み:居住誘導区域 (都市計画課担当)
ここ数年新たな枠組みが導入されています。それは「防災面での配慮による安全な街づくり」及び「都市近郊の居住エリアにおける魅力的な街づくりを推進する」という目的で、都市再生特別措置法という法律の中で数年おきに一連の法改正が進められています。ここでは、「居住誘導区域」という考え方が導入され、従来の建築規制の原則に加えて先ほどの目的での規制の強化や緩和が柔軟に行えるようになっています。一部の崖の近くを除いて、片瀬山のほとんどは「居住誘導区域」になっていますが、今後の法改正により用途規制緩和などの可能性があり、その動向に注意が必要です。→都市再生特別措置法改正(2020年6月成立)
詳細資料→
・居住誘導地域解説(参考):最近充実が進む都市再生特別措置法の規制説明
・居住誘導区域の指定範囲:「ふじさわキュンマップ」にて確認できます。
・追加情報
2020年9月から順次この改正都市再生特別措置法の実施のための政令や施行令が公開され始めました。今後国土交通省の説明ページ に順次公開されていくと思われます。
特にこの説明ページの冒頭に具体的な法案の説明資料が掲げられており、この24-26ページは注目です。第1種住専地域においても、市の指定で「居住環境向上用途誘導地区」を定めることによって、用途規制の緩和が可能になり、ある程度の規模の病院やスーパーの建設等「生活利便施設」の建設が可能になる と明確に示されています。この件は藤沢市都市計画課に問い合わせて、住民間の意見調整がなされれば適用可能であることを確認しており、今後の片瀬山の住環境に大きな影響を及ぼすものと考えています。
以上が片瀬山における基本的な現行の建築規制ですが、今後さらなる規制強化の手段と考えられるものは以下のようなものがあります。
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地区計画について (都市計画課担当)
「建築協定」や「申し合わせ」では賛成者の敷地のみに制約がかかるだけなので、街全体に対する強制力には限界があります。さらに強力な規制の枠組みとして都市計画法、景観法等を根拠とする「地区計画」というものがあり、片瀬山でも締結を提案する声もあります。これは賛成者以外の土地建物も含めて強制力が発生します。指定範囲の地権者の人数及び敷地面積の両方で2/3以上の賛同を集め、市の都市計画審議会の審査を経て、条例化する事で成立します。ただ、締結・解除のいずれにおいても数年の時間が必要で、将来に渡り大きな影響を与えることになります。街の住環境のありたい姿と、実現に必須な規制が何か?について、住民全体での議論を経て計画を立案し、最小限に絞って合意形成をする必要があります。さらにその後の運営団体を住民自身が運営する事が認可の条件になります。
詳細資料→
地区計画の申出制度 藤沢市
藤沢市地区計画等の案の作成手続に関する条例
藤沢市地区計画等の案の作成手続に関する条例施行規則
地区計画の同意条件の詳細
藤沢市地区計画指定地区一覧