【はじまりを探して】片瀬山近隣ネット その1

災害に備える「ご近所の力」の整備は震災前から始まっていた

東日本大震災以降、災害発生時に自分と大切な人の身を守るためには、自身の備えとご近所つながりが重要だという事が実感されるようになりました。

例えば以下は東日本大震災後、横浜市が「災害時にご近所どうし助けあうための組織づくり」を呼び掛けたパンフレットです。ここには大災害時、すぐには助けが来ない事、その中で生き残るためには日頃のご近所との関係づくりが大事な事、さらに助ける人・助けが必要な人を大まかに決めておく必要性が強調されています。

東日本大震災後に発行された横浜市の災害時助け合いの取組事例集

実は片瀬山においては、高齢者比率(65歳以上)が35%を超えた大震災5年前の2006年頃からそうした「ご近所」の力に注目した防災ボランティアの組織化が行われ、「近隣ネット」という名前で運用を開始しました。15年たって高齢者比率が約40%の今、防災活動での大変重要な役割を果たしています。今でこそ例に示した横浜を含め、多くの地域でこうした仕組みが導入されていますが、それよりずっと前に片瀬山近隣ネットはどのように生まれ、発展してきたのでしょうか?今回はそれを「探して」みました。
今回は近隣ネットの発案者ともいうべきSさんと、その組織化段階で実際に運用できる組織として立ち上げるために尽力された伝道師ともいうべきKさんを中心にお聞きしました。まず近隣ネットの概要をご説明しましょう。
◆片瀬山近隣ネット とは
災害時にご近所の方を助けるための継続して活動するボランティア組織で、自治会組織(1年で交代する)をサポートし、その中で改善とノウハウ蓄積ができるようになっています。具体的な活動内容を模式図や写真で説明しましょう。現在の運用では丁目ごとに違いがありますが、おおむね共通して以下のようになっています。

アンケート調査で「助ける人」「助けを必要とする人」を調べて地図にして、定期的に更新する。(形式は丁目によって異なる)

①アンケート調査での準備
まず「助けを必要とする人」と「助ける人」を全戸アンケート等によって調べます。丁目によってはこのような地図にしておきます。そして、それを定期的に更新します。

②助ける側のリーダー:近隣ネットリーダーを決め地図を渡す
「助ける人」のうち中心的に活動できる人に手を挙げてもらい近隣ネットリーダーになってもらいます。①で作った名簿や地図を近隣ネットリーダーとその班の班長だけが持ちます。(個人情報を含むため)

「班」は自治会の最小単位 15~30戸で構成 班長は1年交代

③災害時の活動
近隣ネットリーダーは班長と共同して、近隣ネットメンバーとともに、助けを必要とする人に対する安全確認、救助、初期消火等を行ないます。その後も在宅避難中心の片瀬山住民の生活を自治会組織と協力して支えます。

④定期的に安否確認訓練、倉庫の確認、防災訓練等を行う
毎年行われる片瀬山全体での防災訓練にあわせて、班長と近隣ネットリーダー共同で戸別に救助の必要性の確認を行う「安否確認訓練」の実施、公園で開かれる自治会関係のイベントの際に防災倉庫確認やテントを建てる訓練等を行います。これらを通じて普段から、ご近所との顔をつなぐ事を行います。

安否確認訓練での各戸玄関先のタオル出し:異常ありませんの意思表示(左)
全戸の状況確認を近隣ネットリーダーと班長が行い、その情報を公園で集めます(右)
テントの建設はリーダーシップと多くの方の協力が必要であり、自治会イベントでの訓練は最適です(左)
防災倉庫の点検もこうした自治会イベントで行います(右)

片瀬山近隣ネットはこうした活動を自治会の防災会と連携して行う組織として2006年から構想が始まり、その翌年から片瀬山全体での組織化が本格的に始まりました。東日本大震災以前になぜそうした取り組みが始まったのか?次回はそれをお伝えします。(少し先になります)
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2021年11月21日(日曜日)は片瀬山全体での防災訓練が開かれます。
9時~安否確認訓練、10時~防災フェア です。
詳しくは「防災だより」第39号をご覧ください。 
また防災情報については、当ホームページTopPage
の にまとまっていますのでご参照下さい。