【MINI取材】大災害 在宅避難の備えを-その1

なぜ在宅避難か?自宅で自分にあった避難生活をするために・・

在宅避難 て何?
最近「在宅避難」という言葉を目にすることが増えてきました。災害が起きるとTVは避難所からの中継で、被災地の様子を伝えます。しかし、東日本大震災以降の災害での実態は、避難所は「家で住めなくなった人」を収容する事で手一杯であり、それ以外の大多数の人は避難所でなく、在宅での避難をしており、各自でこうした在宅避難を想定した備えをする事も防災活動として重要だと認識されるようになりました。それぞれの状況(地域、住居、家庭、個人)は異なるので、それにあわせた わたしの防災 を自分自身で事前に考える事がますます重要になっています。横浜市ではこのようなパンフレットを配布しました。

横浜市港南区在宅避難の手引き 在宅避難をお勧めし、その備えについて説明しているパンフレット 横浜市は各区で同様のパンフレットが発行されています。

実は昨年このホームページで近隣ネット関連の取材をした際に、関連取材として片瀬市民センターの方にこうした観点でのお話を伺いました。今回そのインタビューに片瀬山の個別事情、取材情報も加えて、「在宅避難」について実践的で役立つ情報をまとめて、3回の連載記事にしてみます。

藤沢市ではどうなっているのかな?片瀬山では?

藤沢市が昨年全戸配布した黄色い冊子ふじさわ防災ナビには大地震の時の基本的な対処が記されています。

ふじさわ防災ナビ 大変充実したガイドブックです
各ご家庭に配られていますからぜひご覧になって!

ゆれが収まったら、一時(いっとき)避難場所へ集合等して、安否確認や初期消火・救出等を行ない、その後は「自宅が無事な場合は自宅で生活を続ける」ことになっています。指定避難所へ在宅避難者として登録をする とあり、やはり在宅避難が意識されている事がわかります。そしてこの本の第2章には在宅避難に必要な備えについて、詳しく記されています。(→本連載第2回)
また、2022年度版片瀬山防災会発行の自治会役員向け防災セミナー資料にも、片瀬山は原則、”在宅避難”です。と明記されています。

ここで「一時避難場所」(いっときひなんばしょ)というのは、片瀬山で言えば町内にある東西南北の各公園で、安否確認訓練の拠点になっている公園です。「指定避難所」というのは、片瀬中学校です。

藤沢市発行 防災ナビパンフレット 詳細はこちら

これを頭において、片瀬市民センターの防災担当の方に片瀬山での在宅避難はどんな状況になるのだろうか?という視点でインタビューを行いました。Q(質問)とC(コメント)は環境委員会メンバーで、A(回答)は防災担当の方です。その抜粋です。
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防災担当の方へのインタビュー 2021年12月実施
Q 片瀬中学校の地震等発生時の避難所としての収容人数は何人でしょうか?
A 700名です。今のような感染症流行時はさらにその半分350名です。
Q すると、片瀬山(人口約4000人)の大半の方は自宅で避難、という事になるのでしょうか?どのくらいの日数耐える必要がありますか?回覧板に印刷してあるのは3日とありますが?
A 片瀬中学校には片瀬地区の方が多く避難してくると予想され、片瀬山の方の多くは在宅避難となるのではないでしょうか。先日の片瀬地区総合防災訓練の時に配布した「家庭での備え」にはそのための備えは 7日間が標準 と記しました。
Q 防災ナビにあるように、在宅避難届けを片瀬中学に出向いて提出しないと在宅避難者に物資供給をもらえないのでしょうか?
A 避難所運営については、避難所運営委員会(避難してくる住民の自治会役員主体+市職員参加)での決定になりますが、自治会が提出する名簿等で代用する事になると思いますので、その心配はないと思います。
Q 在宅避難で具合の悪くなった人の医療対応はどうなるのでしょうか?
A 災害直後の時点でのけがや救護は応急処置を片瀬山内の医療経験者等で対応していただくことになりますが、その後は、各丁目の救護班から市の体制につないでもらう事になると思います。片瀬山内にいる医師は市の医師会指揮下で医療活動をする事になっており、片瀬山内に居られるかどうかはわかりません。
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自宅での在宅避難になるということはどういうことか。
片瀬山においては、防災会や近隣ネットという素晴らしい組織があり、近所の方の安否確認、けが人救出に協力したりする活動はそれなりに定着していると思います(→片瀬山近隣ネット その1その2その3)。また片瀬中学校に一番近い自治会としてそこでの指定避難所の開設に協力したりします。

一時避難所(各公園)と指定避難所(二つの学校)

ここで取り上げるのはその後の事です。
片瀬山は津波や洪水の心配はなく、また地盤の固い地域が多いため災害には強く、損壊家屋も少ないと思われます。実際、東日本大震災の時には約300人の方が片瀬地区から片瀬中学校に避難した一方で、片瀬山の住民の避難はほとんどありませんでした(→災害に備えた片瀬山主要道路無電柱化要望書 その2)。
この事からも、大地震発生時、初動の危険を乗り切れば、多くの片瀬山住民は片瀬中学校に行くよりは、自宅にとどまる方が多いだろう と予想されます。もちろん、高齢や障害、病気等助けを必要として在宅での生活ができない方の避難所への避難や在宅でのサポートは当然考慮されなければなりません。

在宅避難:「わたしの防災」を考え、充分な備えが必要
では、大地震等が発生した時、どのくらいの期間耐えないといけないのでしょうか。以下に示すのは埼玉県が配布している在宅避難に備えるためのパンフレットにある「地震発生後のインフラの復旧予想」です。電気は6日後、電話は14日後、上下水道は30日後、ガスは55日後と予想しています。それによってどんな不便が起こるのか?も記されています。

埼玉県防災マニュアル自宅サバイバル編より

インフラの復旧までのどこかで、物資の配給や給水等が片瀬中学校(指定避難所)を経由して行われると思われますがそれまでの間、これらの不便を自宅でなんとかしなければなりません。充分な備えが必要ですし、支援を必要とされる方もおられるでしょう。そういう方は「あんしんみまもりカード」(ゴミ収集カレンダーの最後のページ↓下記)を記入して冷蔵庫に止めておく事をお勧めします。災害に限らず、緊急時にパニックにならずに必要な情報を助けに来た方にお伝えする事ができます。

次回は、災害発生時の不自由をもう少し具体的に示したうえで、藤沢市のサポートの準備について、そしてどのように備えればよいか?備蓄はどのくらい必要か 等をご紹介します。

【今回のまとめ】ーーーーーー
大地震が起きたら
・自分と家族の身の安全を確保・確認して、初動の危険を乗り切る
・次に一時(いっとき)避難場所に集合+ご近所の安否確認・初期消火・救出等
・自宅が無事なら自宅で生活=在宅避難 が原則 
・片瀬中学校の避難所で自宅に住めなくなった人を収容 
 開設は片瀬市民センター(防災担当)が主導し、片瀬山防災会が初動立上げに協力
 開設後は避難住民の自治会役員(片瀬山含む)+市職員による委員会が運営

備えが大事
住居、家族構成、体調等に応じた在宅避難への備えを計画し、準備が大事
・食料・水等の基本備蓄は最低7日間 被災後のタイムスケジュールから期間を想定
支援が必要になりそうな方は「あんしんみまもりカード」を冷蔵庫に
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【本文中のリンク以外の参考情報リンク】
東京防災 避難生活編:東京都の防災資料 大変充実しています。