お盆の頃にあらわれて先祖につながると考えられた花と虫たち 上村文次
お盆(旧暦のお盆)の近づいた8月7日、新林公園の湿地でミソハギがたくさん咲いていました。草地でショウリョウバッタがたくさん見られました。林縁ではウスバキトンボが群れて飛んでいました。これらはみなお盆の頃、先祖の霊とつながると考えられた花や虫たちです。ショウリョウバッタはお盆そのもの の名前だったんですね。
〇ミソハギ
地方によりますが、お盆に添える花です.ミソハギは「盆花」「精霊花」などとも呼ばれています。一説には、お盆に帰ってくる先祖がミソハギの露を好む(ミソハギの露でないと口に入れない)と言われています。
湿地に生える多年草。茎は直立して高さは1m前後になり、上部で枝を分ける。葉は対生し、花は葉のわきに3~5個集まって穂状に付く。花弁は4~6個。萼は筒状で先端は6裂し、裂片の間には針状の付属片が付き、横に開く。花期は7~8月。
お盆の祭事の禊(みそぎ)に使われることから禊萩(みそぎはぎ)また湿地を好むことから溝萩(みそはぎ)とも呼ばれていて、これらが名前の由来とされています。
〇ショウリョウバッタ
昔からショウリョウバッタはいつもお盆の頃になると姿を現すので、先祖が姿を変えたものと考えられていました。そのため、ショウリョウバッタは「精霊バッタ」と呼ばれるようになり、精霊流しの精霊船に似るから、この名前が付いたと言われています。
オスの成虫は体長50㎜前後、メスは体長80~90㎜、オスとメスの大きさが極端に違うのも特徴。体が緑色のものと茶色のものがいる。頭は先が尖っていて、全体的に前後に細長い形をしている。後あしが長い。成虫が見られるのは8~11月ころ。 明るい草地にいて、オスは「キチキチ」と鳴きながら飛びます。
〇ウスバキトンボ
お盆の頃に成虫がたくさん発生することから「精霊トンボ」「盆トンボ」などと呼ばれています。「ご先祖さまの使い」として、捕獲しないよう言い伝える地方もあります。
体長は50㎜ほどの中型のトンボ。トンボの多くは水辺にいるが、ウスバキトンボは水辺から離れて飛び回るので街なかでも見られる。日中はほとんどの個体が地上に降りずに飛び回っている。和名のとおり、全身が淡黄褐色です。