片瀬山公園で子供たちが2時間全力で走りチャンバラする楽しい合戦
時は令和6年こどもの日、さわやかな風薫る片瀬山公園で「鎌倉子ども源平合戦」が起きると聞き、これは見に行かねばと見物にまいることにしました。
合戦のルール説明
巳の刻(午前10時)より合戦のルール説明がありました。
・紅白(平家・源氏)に分かれての合戦の勝敗はそれぞれの「大将」が「命」を落とす事で勝敗が決まります。
・「命」とは合戦に参加した兵や将それぞれの腕に(マジックテープで)付けた紅か白の玉の事で、それを刀(ちょっと固めの発泡スポンジでできている)で叩き落とされたら「討死」です。
大将は兵と同様に左腕に「命」の玉を付けた上で鎧兜を身にまとう。
・討死したら、命を拾って次の戦いまでお休みです。走っているうちに落ちちゃった時は、「命拾い」していいです。命はなくさないで大事にしてください(紛失しないでください)
・普段、あれはいけないこれはしちゃだめ と言われてるのでしょうが、今日は禁止事項はありません。でも「顔を叩く」「『命』を脇にはさんで隠す」のは「末代までの恥」と言われます。狭い階段で戦うのは危ないからやめましょう。
・大人も参加していいけど、大人が卑怯な戦いをしているのが動画で投稿されたこともありますから、大人こそ見本になる戦いをして下さい。
以上、今風のわかりやすい説明でありました。広い合戦場には至る所にスピーカーがあって、マイクからの声がよく聞こえるのでした。
合戦準備
「合戦のはじまりはほら貝の合図で始まります。まずはそれぞれの本陣に集まって作戦会議をしてください。今日の大将は紅(あか)はNOさん(女性)、白はNTさんです。」ということで大将からの『頑張ろう』というマイク挨拶の後、兵たちは大将の下知を聞くために本陣へ集まるのでした。
その間に合戦事務局に今日集まった兵の数を問うたところ、約390名とのことであり、さらにいくさに加わらないでその模様を撮影する者たち(多くは父母上や祖父母殿)がたくさんおり、見たところ、合戦場には500名近くの人がいるのでした。普段あまりひと気のない片瀬山公園がこんなに人であふれているのは初めて見ました。さらに、この合戦を仕掛けた方のお名前を問うた所、「鎌倉さんです!」 なんとふさわしいお名前かと感嘆したのでした。
いざ合戦
装束を着た方が生でほら貝を吹いて合戦が始まりました。私は生ほら貝を目の前で聞いたのは初めてで感動しました。
マイクを持つ鎌倉さんが、広い合戦場のあちこちに出没して実況中継し、それが全合戦場に伝わります。「いざかかれー!」「突撃~!」「白組が一斉に責めかかってきた―!」「あー!、今 命が転がってきたよ ちゃんと拾ってね」「あ、顔狙っちゃだめです!」。なんでも仕掛け人の鎌倉さんは保育士をやっておられた という事なので、子供の兵たちをその気にさせるのが上手いのもわかります。あちこちで小競り合いが続きます。みんな全力で追いかけたり、逃げまわったり、少人数をみんなで取り囲んだりと至る所で子供たちが刀を振り回し本気で戦っています。その間にも討死する兵も少なくないのですが、悔しくて泣いている子は不思議といません。
みんなゲームと割り切っているのでしょうか?このあたりがちょっと意外でした。しばらく時がたった所で、大将が本陣を離れて合戦場に出てきます。マイクの声はいよいよ煽りたてます。「さあ、どこが天王山になるのでしょうか?」「白組の大将の周りが手薄になっています!」「紅の大将が下ってきましたー!」「キター!」
敵の大将の周りに兵たちが殺到します。それを守ろうとする兵たちとの激しい戦いになっています。紅の大将にも次々と刺客がやってきますが、守る兵がそれを阻んでいます。そうこうするうちに、白の大将の命がとられ、ほら貝がなって、「紅の勝ちー!」、第1回戦が終了しました。紅の兵が喜んで勝どきをあげ、さらに本陣に戻ると全員で「エイ、エイ、オー!」と勝どきを上げました。
マイクは「他の人の命を拾ったら届けてくださーい!」「続いて2回戦を行います。命を付けて、また本陣で作戦会議をしてくださーい」
しばしの休息の後、再びほら貝が吹かれ第2回戦が開始されます。ざっとこんな感じで大人も子どもも参加する形では4回戦まで行われ、紅三連勝の後、白が一勝したのでした。第4回戦の前に、作戦の内容をマイクで聞かれた兵が「待ち伏せするんだ」「大将を守っている人達たちをやっつけるんだ」と作戦を白状していたのが面白かったです。
お父さんお母さんも楽しい、うれしい!
合戦に参加している兵につきそってきたお父さんお母さんにちょっと聞いてみました。「Q:この合戦いかがですか?」「A:楽しいですね~!。この人数でちゃんと安全に楽しめるというのはすごいです。」「Q:初めてですか?どこでお知りになりましたか?」「A:昨年参加した方から『楽しかった』と聞いたので今回初めて来てみました。」確かに、こんなに子供達が全力で走り回って夢中になっているのはなかなか見れないですよね。お父さんお母さんもわくわくしているのが良く分かりました。
最後の戦いは子ども大将戦
最後の戦いは小学校高学年のお友達が大将になって戦います。今回は紅はURさん(女子)9歳小学校4年、白はMJさん(男子)9歳で、それぞれ兜をかぶって最初に意気込みを語りました。どちらも「がんばるぞー!!!!」
そして再びほら貝とともに合戦が始まり、今回は大人は手を出さず、子供たちだけでの合戦で紅が勝ちをおさめました。
すべての戦いが終わり、白の大人の大将からの挨拶は「みんなありがとう。お疲れ様でした。紅おめでとう」 紅の大将からは「おつかれさま!ありがとう。何度も勇敢に攻めてくる子がいました。すばらしい」 白の子ども大将「次は絶対勝ちます!」 紅の子ども大将「気持ちよかったです!」話が短くてよろしい。
そして集合写真です。みんな楽しかったので元気いっぱいで写真に写りました。
最後に「命」と「命バンド」と「刀」「はちまき」の4点セットと交換に参加賞のお菓子セット袋詰めが中学3年までのこどもに渡されて解散となりました。クリーン活動もこの後行われ、ごみひとつなくなって、静かな片瀬山公園に戻りました。集合写真を撮り終わってちょうど午の刻(12時)という見事な時間管理でした。
鎌倉さんに聞いてみた
こどもの日にぴったりの合戦を主催する「鎌倉もののふ隊」の隊将の鎌倉智士さんに聞いてみました。
Q:この合戦はいつ頃からやっておられるのですか?
A:10年くらい前から鎌倉の学校の校庭や、一時は鎌倉中央公園でやっていました。中央公園に大きな遊具が置かれて(合戦する雰囲気でなくなったので)、昨年から藤沢の片瀬山公園でやるようになりました。だからここでやるのは2回目です。
Q:参加されるのは鎌倉の方が多いのでしょうか?今までこんな楽しいイベントを知らなかったので
A:札幌とか岡崎とか色々な所からいらしてます。鎌倉の方が半分くらいを占めるのですが、藤沢の方もいっぱい、70名以上いらっしゃいますよ。
Q:そうなんですか! パンフレットを見ると、「鎌倉もののふ隊」というのは子ども源平合戦だけでなく色々な事をされているのですね?
A:はい。こういう姿(武者姿)で様々な活動をしていて、イベントやお祭りにも呼んでいただけるようになって、活発に活動しています。
編集部解説:パンフレット・ホームページによれば、祭礼行事としての「合戦」というのは「石合戦」とか「小石打合」等と呼ばれて、千年以上前の平安・鎌倉時代から行われていたそうで、この鎌倉子ども源平合戦はその祭礼行事を再現する事で子どもたちの健やかな成長を祈願する趣旨なのだそうです。
もちろんゲームをやるより屋外で思い切り遊んで欲しいという願いがあるそうです。最初は有料で始めたそうですが、集まった子どもがたまたまその場にお金を持っていなくてかわいそうという事があって、以降は寄付を集めて無料開催にしたのだそうです。
取材ノート
とても楽しい会でした。これだけの人数が集まって低学年から高学年までみんな夢中になって走り回る姿は圧巻でした。足場が悪くて転んで泥だらけになり、振り回したスポンジ刀が顔にあたると痛かったりするのですが、なにせ合戦ですから多少の向こう傷は仕方ありません。藤沢ではまだそれほど知られてない感じですが、片瀬山から歩いてすぐ行ける合戦場ですので、来年はお子さんと一緒に参加されてはいかがでしょうか?(Reported By S)
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刀や命の準備、参加賞等それなりにお金もかかるのでいつも寄付や賛助会員を募集しているそうです。以下にリンクを張っておきます。
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