【備えあれば】テントの組み立てとしまいかた

片瀬山三丁目テントの組み立て方と片付けのマニュアル

101年前9月1日の関東大震災、2011年3月11日の東日本大震災は大災害として忘れてはいけないものでしょう。こうした大災害発生時に片瀬山三丁目では、各人安全確保の上でまず片瀬山東公園(いっとき避難所)に集まり、安否確認+在宅避難か片瀬中学避難か、また支援の必要性の確認等を行います。そのために、居合わせた住民の手で東公園でテントを設営して支援拠点を作る必要があり、今年8月17日の三丁目夕涼み会でもみんなでテントを立てました。今回の記事は「この記事をマニュアルとして、誰でもテントが組み立て・片付けができる」を目的にまとめました。サイト内検索で「テント」ですぐ見つけられます。(他の丁目でも基本は同様なので、使えると思います。)
下の写真が片瀬山三丁目で立てる二つのテントです。

夕涼み会においては
右:大型テント 受付、唐揚げや災害時に食べる防災食の試食等
左:小型テント ポップコーンや綿菓子等のレンタル機器を設置 木陰のほうに子供会のお楽しみコーナー、飲み物コーナーを設置します。

大型テントの構造と部材の呼び名

テントの設営をご指導いただくのは、こうしたテントを数百回立ててきた三丁目のYさん(著名な高校野球監督にして教頭先生だった方)で、毎年三丁目のテント立ての指導をして頂いてます。Yさんが特に強調されるのは、テントの構造を理解する事です。これは一番大事な「最初に部材を地面の上に並べる」ために必要な知識です。

この記事では次のような順で説明します。
1実際の組立(大型テント)
◆2テントの構造の説明
3小型テントの組立
◆4片付け方 
 (片付けを手順通りやらないとシートは収まりません。)
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◆1実際の組立(大型テント)

大きく言うと
①袋から部材(パイプ)を出し、地面に配置していく
②6本の足部材にケタをはめ込み、屋根部分を組み立てる
③屋根部分にシートをかけ、紐で仮止めし、
④皆で足を持ち上げて立て、調整・固定する。という順です。
以下に詳しく説明します。作業には軍手が必須です。

東公園防災倉庫にはテントが二つ置いてあり、ベージュ色の袋(3つ)に入っているのが大型テント(今回説明)、青い袋(2つ)に入っているのが小型テント
袋には部材が分類されて入っているので、出しても他とまぜない事。
長いパイプは二つ折り、三つ折りになっているので、のばしておく。

①袋から部材を出し、地面に配置していく(大型テントで説明)

まず柱を地面に配置する。
(次図下段)
 四隅のカド柱のだいたいの位置を決め、中柱を配置する。柱は内側に倒しておく。
柱に加えてケタ部材を重ねて地面に配置する。
(次図中段及・上段)
頂上部を中央に置いてみて、その長さ・枝の位置に合わせてカド柱、中柱の位置を修正する。流れの部材 は屋根の組み立ての時で良い。
以下に写真で示します。

まずカド柱・中柱をざっと配置してケタも置いた所に、二人で長い枝のある頂上部を中央に持ってきた所
頂上部の枝の位置にあわせてカド柱の位置や中柱の位置を少し動かして調整している所(左奥の野球帽の方がYさん)

② 6か所の足の上に屋根部材(ケタ、流れ、頂上部)をはめ込み屋根を組立てる

左:カド柱に二つのケタをはめて隅を作っている所 カド柱・中柱にケタをはめたら形を整える。
右:ケタをはめ終わった所
左:流れを柱に差し込み(6本)、頂上部の枝にも差し込んで屋根部分を完成させる
右:屋根が組み立て上がった状態 柱は内側に折り曲げたまま。

③屋根にシートをかけて、中に人が入り紐で仮止め
テントを袋から出して、屋根にシートを張る。この時のコツはシートの頂上両端部になる所を二人で保持している事。紐で何か所か仮止めしておくと少々風にあおられても安心。

この後、中に人がはいって要所を紐で仮止めする

④柱を持ち上げてテントを立てる。
 この時注意!、柱が折れている部分を伸ばすので、その近くに手があるとはさまれてケガをする(ほとんどの事故はこれ)。

左:6人以上で屋根を持ち上げる。この時柱の曲がりの部分で挟まれないよう注意して柱を立てる。
右:柱の位置や角度を調整して形を整え、方杖をはめる。方杖が歪んでいる所は木槌で叩いて補正 ここでシートの紐は仮止め以外もしばる。

最後に風で飛ばされないように、近くの柱にロープを張った重りをつけたりする。

左:組み立て完成! 右:全体を動かして公園灯の近くにカド柱を動かしてロープで固定しておく(風対策)
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◆2テントの構造の説明

Yさん曰く、大事なのはテントの構造を理解する事で、これを理解していれば、最初に地面に部材を並べる時に、パイプを一目見て何かわかりますし、置き場所を迷う事がありません。部材がきちんと並べられば、あとは簡単なのだそうです。そのために、各部の構造の特徴と役割をご説明します。

(カド柱と中柱)
次の写真をご覧ください。柱には2種類あって、四隅にあるカド柱は、二つのケタをつなぐために柱のパイプ横にパイプが二つくっついています。もう一つが中柱で同様に三つのケタをつなぐために柱のパイプ横にパイプが三つついています。柱は他のパイプと異なり、方杖がついているのですぐわかります。なぜ2本と3本になるのかは、その次の構造図を見るとケタの数が理解できます。

柱についているパイプの数で四隅カド柱と中柱の区別がつくので、その位置を決める事ができます。カド柱の中では区別はないので、カドはどこのカドでもOKです。中柱も同様です。

構造図:この構造を理解すると部材の識別が簡単にできる
柱  カド柱中柱に付くパイプの数(2本と3本)で判別できる 中柱は中央を渡るケタがあるので3本になる。
ケタ コの字型 短くて本数が多い(4本)が横幅を決めるケタ 長くて本数が少ない(3本)が奥行を決めるケタ 
流れ 屋根の斜めを作る 片方の端が斜めに曲がっている 本数が多い(6本)
頂上部 一番長い 枝状に差込み口が出ている 短いケタ2本分の長さがある

ケタ・流れ・頂上部いずれも構造からその形が決まってくる

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◆3小型テントの組立

防災倉庫に入っているもう一つのテント(青い袋に入っているほう)の組み立て方について簡単に説明します。
先程組み立てた大型テントとの違いは以下の通りです。
•中柱がないので、柱はカド柱(ケタ用パイプが2個付いている)の4本だけ
•柱が折れる構造ではなく、伸ばす仕組みになっているので、低い状態で柱の上に屋根を組んで、柱をのばすことで完成する。
•最初に地面に部材を配置してスタートするやり方、考え方は同じ。
従って組み立ての実際は下記のようになります。

左:まず柱を立てて、右:ケタを差し込みます。
左:ケタ4本を差し込み方杖を付けて、全体の形を整えます。 右:流れと頂上部を組んで屋根ができる。
左:シートをかぶせて(文字は公園内側になるようにする)紐で固定し、
右:足を伸ばして屋根全体を持ち上げる 
左:足もとにくぎを打って地面に固定 右:できあがり

4しまい方(大型テントでの例)

シートを外します。まず、シートの紐をはずし、柱の方杖をはずす。その上で6本の柱を内側に倒しながら地面におろす。その上で中から脱出する。

左:柱を内側に倒しながら屋根部分のパイプを地面におろしている所 右:シートから脱出

シートを外す。この時、頂上部の両端(組み立ての時と同じ)を保持しながらシートをはずす。 

左:両端の保持を指示するYさん
中:シートを外して両側の耳の部分を内側に折る(写真の上下の三角部分)
右:両側から折り込みながら中央で合わせる 

シートのたたみ方 これは重要でこの通りにしないと袋に収まらない。

左:再び両側から折込みながら中央で合わせる
中:さらにもう一度両側から折り込みながら中央で合わせる
右:中央から折るとこのサイズになる
左:今度は直角方向に両側から中央に折り込む
中左~中右:先程と同様に何回か繰り返して、袋のサイズにあうように整える
右:袋を上からかぶせて納める

テントを解体して部材を大型テントは3つの袋(ベージュ)、小型は2つの袋(青)に収納する。最後に防災倉庫の左手に立てて納める。(この記事の最初を参照)

左:頂上部と流れをはずして、ケタをはずす
中:わかる人が指示して「柱」「ケタ」「流れと頂上部」をそれぞれ集める。
右:大型テントはベージュの3袋に収納する。小型テントは2袋に収納する。

以上を理解している人が多いほど素早く準備ができます!今後もこのマニュアルが活躍する事を期待して。(Reported By S ,Photo By I &S)