【報告】片瀬山三丁目自治会 「回覧をLINEで見られるようにする」活動報告2

未体験の取り組みでの工夫と舞台裏 三丁目IT担当からの報告2

今回のプロジェクトでは予想外のことがあったり、迷いながらも方針を貫いたり、色々なことがありました。まず、驚いた事から・・・

LINE未登録(=見られない)なのに紙の回覧辞退 という方が沢山いた
以下の棒グラフは昨年末のアンケート結果の一次集計段階のものです(最終の集計は前回を参照)。もともとアンケートの回答用紙には辞退と継続という2択しかありません。一目見て辞退世帯が多いと感じました。そこで辞退世帯とLINE登録している方の住所を照合してみました。すると、辞退と回答した世帯なのに、そのご家族の誰もLINE登録をしてない世帯が沢山あったのです。「LINEも紙も不要」というのは、何としても避けなければいけません。辞退を額面通り受け取れません。そういう世帯を「要確認世帯」としてカウントして一次集計としたのが下記グラフです。世話役・役員の皆様に大変手数をおかけしたのですが、すべての「要確認世帯」に電話や訪問で、本音と事情を聴いてもらいました。

昨年末のアンケートの1次集計結果 要確認世帯が多数存在する

要確認世帯」調査と対応
〇要確認世帯の約半分:紙の回覧をやめる と決めて、これからLINE登録をしようと思っていた方
半分程度の方は紙の回覧をやめる と答えたけれど、まだ登録してない という方々でした。そこで、登録のやり方を書いたチラシをお渡しして登録をして頂くことにし、必要に応じて催促もして、登録後もLINE配信担当がフォローもしました。LINEでの回覧を体験してから判断して下さいと3か月間PRしてきたので、大変意外でした。具体的に声かけがないと登録まで至らない ということがよくわかりました。また、後に述べる「教室」のご案内をして、それを利用して登録にこぎつけた方もおられます。
〇要確認世帯の残り半分:紙の回覧をやめたくないと思っているけど 遠慮していた方、誤解して迷っていた方など
残り半分の方は紙で読みたいと思っておられる方でした。回覧で他の方の辞退に引きずられて、辞退に〇した方、紙はもうやめなければならない と誤解して迷っていた方などです。そうした方には、遠慮なく紙回覧の継続を選んで頂くようにお願いしました。LINEやってみようか と意思のある方にはLINE登録方法をご案内し、紙とLINE両方でご覧頂くようにした方もいます。

こうして2週間くらいかけて、すべての世帯の意向を確定する作業を行い、2月10日の回覧から新しい体制での回覧に移行しました。
3月に再度のアンケートで、「やってみたけどやっぱり〇〇」という再度の選択の機会を作っており、そこで本当の確定をして以降はしばらく固定する予定です。
次は様々な工夫についてです。

登録の仕方を徹底的にPR +スマホ教室+説明会等の開催
〇チラシや回覧で多くの回数目に触れる
できるだけ早く、多くの方が体験して頂くために、約10回のチラシや回覧を通じて様々な情報の提供に努めました。一例を示します。

上記のQRコードはどこにもつながりません(加工済み)

「PCやタブレット等の大画面で閲覧する方法」、「LINEで回覧するメリット」、「LINE回覧で実現する新しい自治会活動」、「LINE登録進捗状況」、「スマホ教室やLINE教室の日程」などを掲載し、たまにしか回覧を見ない人でもいつか必ず目に触れて、自治会が今注力している活動とわかるようにしました。
またチラシや回覧の下欄に「友だち登録のやり方」を毎号記し、あらゆる機会で、その気になった方がその場ですぐに登録できるようにしました。

毎号に記した友だち登録のやり方説明です 

〇スマホ・LINE教室、登録サポート会、一般説明会を実施
スマホ・LINE教室:片瀬山市民の家運営委員会に協力して頂き、藤沢市がデジタル化で推進している「スマホ出前講座」や「公民館事業スマホ教室」等の施策や支援をフル活用(あるいは便乗して)しました。片瀬山市民の家には大変にご協力頂きました。そこにも顔を出して友だち登録のPRやサポートを行いました。(11月~2月まで6回)
登録サポート会:予約無で立ち寄ってもらい登録のサポートをする 12月と3月で2回
一般説明会:プロジェクト全体像を説明する場 11月に2回
一般説明会は資料準備して待っていたのですが、参加者ゼロでした。アンケートで意思表示を迫られるようにならないと関心が高まらない?

住所と名前を申告して頂き、三丁目の住民であることを確認し、チャットで直接連絡を取れるようにした

登録の際に氏名と住所をトークで教えて頂く事 にした
登録頂いた情報を事務局で名簿と照合して、片瀬山三丁目の方である事を確認しています。LINEを使い慣れてない方にはかなりハードルが高いのですが、あえてお願いをしました。他の事例ではそうしない例もあり、迷いましたが先々を考えてこのようにしました。

これには三つの目的があります。
目的その1 三丁目の人だけが見ている回覧であること
そもそも紙での回覧板は「顔の見える関係」を前提に、三丁目以外の方には見られない事が大前提でした。電子化で外部の方も見られる可能性が発生すると、その前提が崩れます。すると掲載情報を制限せざるを得なくなり、それでは町内の「つながり」を強めるための今後の施策に影響が出る事を危惧しました。

目的その2 1対1での連絡チャンネルを作る
LINE公式アカウントの仕様上、運営者側から個別に連絡を取れるようにするためには、登録者からご連絡を頂く事が必須です。そこで最初に「住所氏名」を「登録者側から連絡する」という仕組みにしました。このやり取りで1対1のチャンネルができます。登録時のやり取りの例を次に示します。

住所氏名の連絡、名簿の照合、1対1の情報のやり取りの確立を兼ねてこうした手順にしている。また「個人情報保護の取り扱い」ルールに従って取り扱う内容を事前に告知して同意頂いた上での、登録となるような手順を踏んでいる。

こうして、身元確認の取れた1対1の連絡チャンネルができると、今後の自治会活動範囲が拡大し、次の世代にバトンを渡す「持続可能な活動」に進化できると思います。
即時性を活かした防犯情報や災害時の連絡手段
運営側からの居住地域を指定した情報提供や、会員側からの情報提供手段として使いやすく、精度の高いものになります。
・自治会活動での機動的な募集や応募
運営側からの町内での募集、会員側からの応募が極めて簡単になります。実際にすでに何件かの募集を行い、ごく短期間に応募があり大変助かりました。従来の紙での回覧では年間計画にあるイベント以外は実行困難でした。今後の自治会活動の活性化に大きく寄与するでしょう。
・自治会活動での手続きの合理化
会員→班長→世話役→担当世話役員の間で、瞬時に情報が届くようになり、手続きのスピードアップが可能になります。今後制度化を検討し、関係者の負担軽減に繋げたいと思います。
さきほどの「要確認世帯をなくす活動」も世帯と氏名がセットで確認できたので可能になり、個別のフォローも可能になりました。

目的その3 三丁目以外の方への配信制限
LINE公式アカウントの仕様上、外部の方が参加した場合も公式アカウントのURLを入手した方は登録できて、登録自体を解除できません。通知が来て回覧を読めるのは便利なので、三丁目以外の方が多数登録する事があり得ます。三丁目自治会で負担している費用内では配信数に制約がかかる可能性があります。今回のやり方なら、身元確認できない方には配信しないという事が可能になります。

個人情報保護の取り扱いルールを守る
住所とお名前を申告していただくわけですから、三丁目で制定してある「個人情報保護の取り扱い」ルールに従ってそれらを取り扱う必要があります。取扱い方法を事前に告知して同意頂いた上で、登録となるように手順を踏み、以降もそれを遵守する体制を整えています。
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【謝辞】4月から新役員や新班長に運用を引き継げるように、半年でここまで整備するという無茶な計画でしたが、多くの自治会役員・関係者の方々に絶大なご協力を頂きました。
また、先行する他の自治会の皆様のお知恵と経験を参考にさせて頂きました。
スマホ教室の開催、他自治会の紹介、色々な相談に乗って頂きました藤沢市の関係部署の方々にも大変お世話になりました。改めて皆様に感謝申し上げます。
高齢化・人口減少・デジタル化社会の中で持続可能な地域コミュニティ活動の第一歩になれば、と思います。
(Reported By S)