成虫越冬する珍しいトンボ・ホソミイトトンボ 上村 文次
9月に川名清水谷戸で14種類のトンボを観察しました。
ホソミイトトンボ・オニヤンマ・ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ・アオモンイトトンボ・シオカラトンボ・オオシオカラトンボ・オオアオイトトンボ・ショウジョウトンボ・コシアキトンボ・アジアイトトンボ・ウスバキトンボ・アキアカネ・ヤブヤンマです。
9月29日にハス他近くの草地や樹林地でホソミイトトンボを4匹も観察しました。ホソミイトトンボは成虫のまま越冬する珍しいトンボです。川名清水谷戸ではいままで殆ど観察できなかったトンボです。
南方系のトンボで、西日本を中心に分布していましたが、近年は地球温暖化の影響か、分布域が変化、川名清水谷戸でも見られるようになりました。
川名清水谷戸はハス田や湿地、ため池などの水辺があり多くのトンボが生息しています。
9月だけでもたくさんのトンボに出会えましたのでご紹介します。
〇アオモンイトトンボ
雄の腹部8節と9節の下半分が青色です。体長は30~35㎜、同じ仲間のアジアイトトンボより一回り大きいです。
〇アジアイトトンボ
雄の腹部9節が青色です。アオモンイトトンボに似ていますが、青色部分の節が違います。 体長は20~25㎜、アオモンイトトンボ属の種類のなかでは最も小さいトンボです。
〇アキアカネ
俗に赤トンボと呼ばれています。夏にいったん平地から高地へ移動し、秋に再び平地に出現します。初夏に羽化、羽化後、暑さを避けるために高地に移動し、涼しい山地で生活して、体色をオレンジ色から赤色に変化し、秋が近づくと高地から平地に移動し、平地で生活します。
9月27日に谷戸入口の畑わきで観察することができました。猛暑日が続いたので、今年はアキアカネの平地での出現が(例年より)遅かったようです。
〇ホソミイトトンボ
大きさは30~40㎜ととても小さいイトトンボです。南方系のトンボです。
ホソミイトトンボは国内では唯一夏型と越冬型の季節型があるトンボで、夏型が産卵したものが越冬型として盛夏ごろから羽化し、そのまま成虫で年を越します。成虫で越冬するトンボは日本では200種のうちホソミイトトンボ、オツネントンボ、ホソミオツネントンボの3種のみです。
〇ギンヤンマ
9月29日にため池手前の湿地でギンヤンマの産卵行動を観察することができました。
ギンヤンマは交尾後にオスとメスが連結したまま、水面に突き出た植物に止まり、メスは水草(植物)に産卵していました。
〇シオカラトンボ
〇ショウジョウトンボ
〇コシアキトンボ
〇ウスバキトンボ
9月15日に草地上(頭の上あたり)を群れになって飛んでいるウスバキトンボを見ました。
〇オオアオイトトンボ 9月29日には尾根道や樹林地、ハス田わきなどの草地で10匹以上のオオアオイトトンボを観察しました。川名清水谷戸はオオアオイトトンボの宝庫です。