陽です!鎌倉の豊かな自然と旅を楽しむ日々

甲斐犬の保護犬 陽との日々  つさき よう

 2011年1月、動物愛護センターで首に熊よけのカウベルを付けていた一才にも満たない雌犬の陽は、SNS上で甲斐犬レスキュー仲間たちに カウベルちゃん と呼ばれていた。陽 はおそらく猟犬の親犬たちとはぐれてしまったのだろう。保護団体の会長と一緒に私が引き取りに行って、みんなが喜んでくれた。

広町の森 早朝散歩

自然の中で生き生きとしている陽と散歩するのは、時間を忘れるほど楽しい。いつしか、そうした陽と自然豊かな所に住みたいと思うようになり、2014年に新鎌倉山に引っ越してきた。家のすぐ近くの広町の森を毎日のように一周、陽は、リスやコジュケイをじーっと狙い、地面の匂いを延々と追い続け、豊かな自然を満喫する。陽がいなかったら、ここまで自然の豊かさにこだわった移住など考えなかっただろう。

広町の森で甲斐犬オフ会

 犬のケージが乗せやすいRV車に買い替えて、旅行も楽しんだ。長いドライブも大丈夫だし、何より陽は、どこへ行っても興味津々に楽しんでいるのを感じられて、私も嬉しかった。伊豆高原には、移住を検討していた時に知り合った犬友達に会うために、何度も行った。甲斐犬の発祥の地といわれる山梨県芦安を訪ねる旅では、金櫻神社で甲斐犬が描かれたお札をもらった。箱根では、大涌谷で一個で七年延命長寿の黒い温泉たまごを一緒に食べた。
 中でも、紅葉の時期の蓼科は素晴らしかった。車酔いしない陽のおかげで、ビーナスラインを美ヶ原高原美術館までドライブできた。箱根彫刻の森美術館の姉妹館で、野外展示場は犬連れで鑑賞できる。

美ヶ原高原美術館にて

北アルプスの雄大な山並みを眺望しながら、個性豊かでスケールの大きい現代彫刻を堪能できる。陽と一緒に観光できる所としては、私の中でナンバーワンだ。
 そんな楽しい旅の時期も、10年続かなかった。犬は、歳を取るのがはやい。陽が11才、人間でいえば60才になった頃から、軽井沢の犬連れで利用できる貸別荘に滞在するようになった。別荘地の中を、のんびり散歩する。スーパーで大量に買い込んだ地元の新鮮な野菜を料理して、ゆっくりくつろぐ旅だ。これからも年2回くらい、その快適な別荘に滞在したいと思っていた。だが、去年秋の滞在中、陽は食欲がなくなってしまった。心配したが、家に戻ったらいつものように元気になった。

軽井沢で お家がいいなぁ

 家にいるのが、一番良いのね。ここ鎌倉には、陽と共に豊かな自然を楽しむために移住してきたのだから、もう、旅行はやめよう。広町の森を一周するような長時間の散歩はできなくなってしまったけれど、森に隣り合わせの散歩道で、13才の陽はリスやタヌキを見つけて大はりきりしている。少し車で行けば、富士山を眺めながらの海岸の散歩もできる。

海岸散歩

 陽と前の愛犬との生活を合わせると、20年近くなる。私の人生の約三分の一を、楽しく素晴らしいものにしてくれている。一日中家にいる愛犬とは、会社に行ってしまう夫より多くの時間を一緒に過ごしていることになるだろう。陽は、これからも私にたくさんの幸せをもたらしてくれるに違いない

以前登場のミシェルくんと(ミシェルくんの以前の記事