【調べてみました】身近で観察 セミの羽化実況レポ 宿題に最適

今回は鶴岡さんのインタビューの予定だったのですが、今のタイミングしかない原稿ができたので急遽変更させていただきます。
梅雨が明けて一気に暑くなり、セミがうるさく鳴いています。そんな身近な生き物ですが、皆さんはセミの羽化というと、深夜遅くに山奥の林で密やかにおきる事 というイメージをお持ちかもしれません。実は片瀬山の公園の隅っこ、あるいは皆さんの家のお庭で、それも日没後じきに始まり、子供達が起きている時間帯に山場を迎える生命のドラマなのです。今回は8月2日日曜日の夜、実際に片瀬山東公園で見られたアブラゼミの羽化の実況レポートをお届けします。

21:03 背中に割れ目が入りました・・この時までに体の中の準備はすっかり出来上がっています。地面から50センチくらいのところにしっかりと爪をたて、場所を定めました。
21:46 背中が割れて、おなかを抜け殻に残して上半身が外へ出てきます。まだ足が柔らかく力が入らないので、この格好でしばらく体液が体の隅々まで行きわたるのを待ちます。小さく折り畳んだ羽根が見えます
22:20 足がしっかりしてきて起き上がり、抜け殻をつかまえて、羽にも体液がいきわたりセミらしい姿になります。羽はまだ柔らかくきれいな緑色です。体には少し色が付き始めます。
23:09 体の色がしっかりつき始め、羽も茶色くなってきて、アブラゼミの雰囲気が出てきます。この後朝までは静かに体が硬くなるのを待っています。翌朝早くには飛んでいきます。明るくなると鳥に狙われるのでのんびりできません

セミの幼虫は長い長い地中生活の末に、この日の昼間に地表近くまでトンネルを掘り進んで隠れています。日没とともに地面にでてきて、ゆっくりゆっくり地面を歩き、近くの木の幹に登り始めます。日没後明るさの少し残るうちに出てくるので、のろのろ歩く幼虫は、鳥の餌食になりやすく、一生で一番危険な命がけの登坂作業です。だいたい8時過ぎには場所が決まります。

日没後早いものは8時過ぎ頃から羽化が始まります。穴からゆっくり歩いている幼虫も見る事ができます。だいたい2時間くらいの間を15分間隔くらいで見に行くのが、丁度よい感じです。スマホのライトで十分観察ができます。ただ夜になってからこうしたドラマの現場を見つけるのは、結構大変です。

そこで、ちょっとしたコツが必要です。それは、どこの木のそばで羽化が起こりそうか?明るいうちに見当をつけておく事です。具体的には、最近の抜け殻がある木をいくつか見つけておいて、その近くを8時過ぎから巡回します。抜け殻が見つからなくても、地面に新しいセミの抜け出た穴が見つかる場所も候補です。こうした下調べをしておくと、夜になってから暗がりでひっそり羽化する幼虫を見つけやすいです。

翌朝 下にある抜け殻が昨晩のセミの抜け殻 右上端に見えるのが別の抜け殻 この木のそばではこの夏、まだ観察できる可能性があります。

翌朝 近くにあるセミの抜け出た穴2つ 直径1~1.5センチくらい 大きな穴はミンミンゼミの可能性

こうした木は片瀬山内の公園に何本かあります。昔、私の子供を連れて見に行った頃はもっと木が多かったので、毎日のように羽化を観察する事ができましたが、最近は公園の木が減っているので、事前にあたりを付けて8時過ぎに巡回し、羽化がなさそうな夜は翌日にするというのが良いでしょう。東公園の場合、ムクドリが夕方セミを狙って歩き回っているので、食べられてしまうのではと心配しています。個人のお宅でも抜け殻が見つかる場合は見られる可能性があります。
コロナでなかなか外に遊びに行けないこの夏、身近にある美しくも神秘的な生命のドラマをお子さん、お孫さんと一緒に体験してみるのはいかがでしょうか? 観察の際は、1蚊に刺されないように注意、2セミの幼虫を踏んづけないように足元に注意、3絶対に幼虫に触らないこと、4大人がついていく、等にご注意下さい。
この1週間くらいが山場だと思います。 (Studied By S)