今回は鶴岡さんのインタビューの予定だったのですが、今のタイミングしかない原稿ができたので急遽変更させていただきます。
梅雨が明けて一気に暑くなり、セミがうるさく鳴いています。そんな身近な生き物ですが、皆さんはセミの羽化というと、深夜遅くに山奥の林で密やかにおきる事 というイメージをお持ちかもしれません。実は片瀬山の公園の隅っこ、あるいは皆さんの家のお庭で、それも日没後じきに始まり、子供達が起きている時間帯に山場を迎える生命のドラマなのです。今回は8月2日日曜日の夜、実際に片瀬山東公園で見られたアブラゼミの羽化の実況レポートをお届けします。
セミの幼虫は長い長い地中生活の末に、この日の昼間に地表近くまでトンネルを掘り進んで隠れています。日没とともに地面にでてきて、ゆっくりゆっくり地面を歩き、近くの木の幹に登り始めます。日没後明るさの少し残るうちに出てくるので、のろのろ歩く幼虫は、鳥の餌食になりやすく、一生で一番危険な命がけの登坂作業です。だいたい8時過ぎには場所が決まります。
日没後早いものは8時過ぎ頃から羽化が始まります。穴からゆっくり歩いている幼虫も見る事ができます。だいたい2時間くらいの間を15分間隔くらいで見に行くのが、丁度よい感じです。スマホのライトで十分観察ができます。ただ夜になってからこうしたドラマの現場を見つけるのは、結構大変です。
そこで、ちょっとしたコツが必要です。それは、どこの木のそばで羽化が起こりそうか?明るいうちに見当をつけておく事です。具体的には、最近の抜け殻がある木をいくつか見つけておいて、その近くを8時過ぎから巡回します。抜け殻が見つからなくても、地面に新しいセミの抜け出た穴が見つかる場所も候補です。こうした下調べをしておくと、夜になってから暗がりでひっそり羽化する幼虫を見つけやすいです。
こうした木は片瀬山内の公園に何本かあります。昔、私の子供を連れて見に行った頃はもっと木が多かったので、毎日のように羽化を観察する事ができましたが、最近は公園の木が減っているので、事前にあたりを付けて8時過ぎに巡回し、羽化がなさそうな夜は翌日にするというのが良いでしょう。東公園の場合、ムクドリが夕方セミを狙って歩き回っているので、食べられてしまうのではと心配しています。個人のお宅でも抜け殻が見つかる場合は見られる可能性があります。
コロナでなかなか外に遊びに行けないこの夏、身近にある美しくも神秘的な生命のドラマをお子さん、お孫さんと一緒に体験してみるのはいかがでしょうか? 観察の際は、1蚊に刺されないように注意、2セミの幼虫を踏んづけないように足元に注意、3絶対に幼虫に触らないこと、4大人がついていく、等にご注意下さい。
この1週間くらいが山場だと思います。 (Studied By S)