独りぼっちの修行から職人としてマイスター資格取得へ
いきなり独りぼっちの修行になってしまった曽根 愛（そね めぐみ）さん その後もドイツでの修行を続け、国家マイスター資格を取り片瀬山に出店するまでをお聞きしました。
●独りぼっちで始めた見習い修行も暖かい人たちに恵まれて
修行するお店の近くに住む、おばあさんの家の1部屋を貸していただくことになりました。そのおばあさんは世話をやくのが好きですがしつこく無く、ちょうど良い距離感も保ってくれてとてもよくしてくれました。
私が修行するお店の家族はとても暖かい人たちでした。ドイツは昼食がメインです。見習いはサンドイッチなどの簡単なものを持ってきてお昼に食べていましたが、私はシェフの家族に入れてもらって一緒に食事をすることができました。クリスマスは家族と過ごすのが普通なので、留学生達は過ごし方に困る事が多いんです。でもクリスマスもお店の家族と一緒に過ごさせてもらいました。
⚫︎黙って聞いているのは反省にあらず
お店のシェフは、勢いよくお喋りする人で、怒った時も陽気な時も勢いがある人でした。ある時失敗して怒られたんです。黙ってお説教を聞いていたら、黙って聞いてないで、何か言ってくれ！黙ってられると何を考えてるかわからない！と言われました。
日本人は目上の人に怒られてる時は、口答えしないで黙って聞いてますよね。でも、黙ってても怒られるので、難しいなと思いました。それからは、頑張って何か言うようにしたら修行が終わる頃には、お前はうるさいって言われるようになりました(笑)
シェフの家族はいつも言い合っていて時には激しく言い合いますけど、お互い言ったら終わり！ その後は陽気に話してます。あとまで引きずらないので、見てて気持ちいいんです。
土曜日は早朝から仕事を始めて、お昼前には仕事が終わり、日曜日、月曜日とお休みになります。土曜日の午後はホストファミリーの子供たちが車で迎えに来てくれて、一緒に遊びます。早朝から仕事して夜まで遊んで、気がついたら24時間起きてた事もありました。若かったんですね。大変でしたが、そんな見習い修行時代でした。
⚫︎「見習い」から「職人」になる
3年間通った学校で実技試験と筆記試験があります。それにパスすると見習い時代が終わり、やっと職人になって人並みのお給料がもらえるようになります。
見習いの時はお店を変えてはいけないのですが職人になると自分の意思で、自由にお店を選んで働けるようになります。といっても、今みたいにネットがなかったので、お店を探すのに苦労しました。
⚫︎ドイツ国家マイスターへの挑戦
職人になって新しいお店で働くようになってから４年後、更に上級のマイスターの資格に挑戦しました。
マイスターになると職人より社会的レベルが上がり、大学卒業と同じレベルになります。そしてお店の経営ができるようになります。
お店には、必ずマイスターが一人いなければならないのです。マイスターになるための学校へ半年間通って、そこで法律や経営を学びますが、沢山勉強しなければならないので、みんなげっそりとしていました。「落ちたら終わり」という緊張感の中で、私も必死で勉強しました。
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●帰国して アウスリーベ を開店
無事にマイスターの資格を取得して帰国した曽根さん。初めは知り合いから頼まれてお菓子を作ったり、注文販売をしていましたが、だんだん数が増えてきたので、自宅にしっかりした厨房を構えて販売スペースを作りました。リーベはご自身のお名前 愛のドイツ語 にちなんでいます。
お店には、伝統のドイツ焼菓子の他、スイス・フランスで学んだチョコレート、ケーキが並びます。クリスマスの時期には、ドイツから取り寄せたアドベントカレンダーやクリスマスボールに、お菓子を入れた可愛いグッズも並びます(要予約)。片瀬山ではアウスリーベを知らない方のほうが多いと仰る曽根さん。曽根さんが愛情込めてひとつひとつ丁寧に作った焼き菓子、チョコレート、ケーキをぜひ、御賞味頂きたいと思います。最後に色々なお菓子（作品）のご紹介です。
（右）ちょこっとプレゼントに人気のハーフサイズ
真夏にはいったんお休みになります
