24年2月【調べてみました】藤沢市人口の社会増が急減?!

コロナ禍の終了と共に人口移動の様子が変わった?!

1月30日に総務省統計局から2023年における全国の人口移動統計が発表されたと新聞テレビが報じていました。概要部分はいろいろな媒体で報じられましたから、何となく覚えている方も多いと思います。藤沢市はどうなっているのかな、と統計局のプレス発表資料を見ていたら、あれ!?と思う事がありました。それは過去数年全国トップ20の常連として君臨していた転入超過人数(転入者数ー転出者数 つまり「社会増の事」)の上位都市リストに藤沢市が見当たらなかったからです。それがこれです。

人口社会増転入超過人)数の多い上位20市町村2023年 統計局1月30日発表

あれ?!常連の藤沢市がなく、茅ヶ崎市と平塚市が上位にランクアップしている

ちなみに前年2022年の同様のリストは以下です。昨年は3200人分の社会増があった事がわかります。その前年は4500人です。

昨年は堂々の全国9位だったのが・・・

全国的に見ても人口増加している都市として知られた藤沢市の「人気のバロメータ」である社会増(転入超過人数)が減ってしまったのは何が起きたのか?。プレス発表では何だかわからないので、統計局のデータの過去6年分のデータをダウンロードして調べてみました。
まず、順位を過去から見やすくしたのが、下図です。都市名の右横は全国順位です。

藤沢市は昨年までは安定して15位以内にいたのが、昨年確かに大幅に順位を下げてベスト20以下になった事が分かります。コロナ前後でどの都市の順位がどう変わったかという見方で、大まかに傾向を分類してみました。
〇上位7位までの都市の復活 コロナ期間中は大変動がありましたが、2023年見事に復活しました。東京都区部、大阪、横浜、札幌、福岡、さいたま、川崎がそうです。
 特に東京都区部、川崎市は社会増(転入超過数)が大幅に減ったものの、もとに戻っています。これを新聞は「東京一極集中が復活」と報じたわけです。
〇この数年上位の次のグループだった大都市周辺ベッドタウン都市群の下降 比較的子育てしやすい等の理由で、ここ数年上位にあり、特にコロナの期間に転入者が増えた都市が全般的に2023年に順位を落としました。流山市、藤沢市、つくば市がそういう都市です。特に藤沢市はその落ち込みが大きく、ここ5年間は15位以上をキープしていて、コロナ期間中は特にベスト10以内に入っていたのに、2023年に大幅に順位を落としました。
〇コロナ中も増え、コロナ終了後も上昇を続けたベッドタウン都市群 その前のグループのそのまた次にあり、コロナ後も増え続けて上位に食い込んで来た都市群です。相模原市、茅ヶ崎、平塚等です。若干千葉市もそういう傾向があります。

一方で登場してこない大都市や周辺都市 というのもあります。なぜ名古屋、仙台、神戸、広島、京都、等が出てこないのか?と不思議な気持ちもします。

藤沢市が社会増(転入超過人口)を減らしたのは?
では藤沢市の転入と転出人口数の推移を見てみましょう。似たような傾向の流山市と並べてみました。いずれもコロナの後に転入が減り、転出が増加しました。

藤沢市と流山市の転入及び転出人口の推移 藤沢市・流山市同様に2023年に転入が急減し、転出が増加して転入超過者は一気に急減して、20位以下に転落した。

一方でこの所ランク急上昇の茅ヶ崎平塚両市は転入は増え続け、転出が一定値だったので、転入超過者が増えました。

茅ヶ崎市と平塚市の転入及び転出人口の推移 茅ヶ崎・平塚市は同様にコロナ期間も安定的に転入者が増え、一方で転出者がほとんどふえなかった。それでここ数年で急速に転入超過者数が増えた。

これら順位の急上昇急降下のあったのは、いずれも首都圏周縁部のベッドタウン都市です。おそらくベッドタウンとしての生活のしやすさ等での人気の上昇下降が影響しているのではないでしょうか。一方で、上位7都市のいずれも100万人を超える巨大都市では、ベッドタウンへの移住が起きたコロナ期間では多少転出の増加があったにせよ、今までの一極集中的な流れはまだ続いており、コロナの転出増は一時的で、あっという間に元に戻った という事なのかもしれません。また周縁ベッドタウンエリアが市内にある場合は、市内の移動となるので、転出とならなかったのかもしれません。横浜、札幌、福岡等はそうした理由で順位の変動が少なかったのかもしれません。
そうした考察を新陳代謝 という見方で裏付けるのが次のデータです。
人口の転入を人口(ここでは2020年の人口)で除してみました。1年に何パーセントの人が転入をするのか?となりますから、都市の新陳代謝度合を見る事ができます。

このグラフの比較対象にした都市名は説明しやすい一部を選んだもので、順位に登場するすべての都市を表示はしていません。

これで見ると、さきほどの上位7都市がやはり断然新陳代謝が大きい事が分かります。なんと7%を上回っています。進学、就職等教育と仕事の場が多い都市というのは、上位7都市に加えて名古屋や仙台等、転入増加数の少ない都市も活発に活動していることがわかりました。こうした都市が日本全国から多くの人を集め、そこから他の大都市に人が出ていく。そのうちの一部の方が近郊に住み家を見つけて周辺のベッドタウンが大きくなる という事なのですね。
色々な見方ができるデータでした。
最後に付記しておきますが、藤沢市人口の自然増減は過去15年自然減状態となっており、上記の人口で言うと、2018年は-220名、以降、-568名、-608名、-930名、-1335名と減少のスピードを速めています。やはり高齢化が進んでいる事がわかります。社会増が大きいおかげでトータルでの人口増を確保しているわけですから、今後もその変動に注目していくことにします。(Reported By S)

補足説明

今回のデータは総務省統計局の以下のサイトのデータを元に算出しました。
2020~2023年の間
 この期間の各年第11表-1(転入),2(転出),3(転入超過)
2019年までの間
この期間の各年上記に相当する第16表-1(転入),2(転出),3(転入超過)X(各3地方分類)を中心に集計しました。