【片瀬山の自然】スプリングエフィメラル~春の妖精~

「スプリングエフィメラル」:早春の一時期に現れる”春先のはかない命” 春の妖精です 上村文次

川名で春の妖精 が姿を見せるのは3月下旬から4月初めです。
「スプリングエフィメラル植物」は早春のこの時期葉を広げ、花を咲かせ、夏になると地上部は枯れてしまい、あとは地下茎や球根の姿でひっそりと過ごす植物です。
片瀬山近辺ではそうした春の妖精として「ヤマエンゴサク」「ヒトリシズカ」「アマナ」「ムラサキケマン」「ニリンソウ」が見られました。
ヤマエンゴサクは初見でした。
ヒトリシズカ、アマナ、ニリンソウは貴重な植物で、アマナは絶滅危惧種に指定している県もあります。ニリンソウは藤沢では見られるところは2カ所ほどしかありません。

〇ヤマエンゴサク

ヤマエンゴサク 2024.3.28 川名
林縁の道路脇に咲いていました。総状花序に5個の花をつけていました。変わった形の花をしていました。

〇ヒトリシズカ

ヒトリシズカ2024.3.28 川名
新林の山道を登っていくと、雑木林の林床にヒトリシズカが群生していました
茎の先端に4枚の葉をつけ、長さ2~3㎝の白いブラシのような形の花が咲いていました。愛好家に人気のある可憐な草花です。

〇アマナ

アマナ 2024.3.30 川名  日当たりのよい林縁に生えていました。花茎の途中に2個の包葉をつけるが、3個も見られます。花茎が柔らかいので、花がうつむいている事が多く、陽があたらないと花は閉じています。
早春の落葉樹林の落ち葉から顔を覗かせている姿は可憐です。早春に花を咲かせ、晩春には地上部を枯らせてしまう典型的なスプリングエフィメラル植物です。

〇ニリンソウ

ニリンソウ 2024.4.7 川名   林縁のやや湿った場所に生えていました。
キンポウゲ科の多年草です。背丈は15㎝位で、白い花が満開でした。 春植物で、林床が暗くなる6月頃には地上部が枯れてしまいます。
春菊にも似た葉を地際から3枚出し、そこから花茎を
立ち上げ、通常2輪の白い花をつけます

〇ムラサキケマン

ムラサキケマン 2024.4.4 川名   湿った場所の木陰に群生していました。この時期、あちこちで見られます。

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「スプリングエフィメラル蝶」は「ツマキチョウ」です。一年に一度しか出現しない蝶で、3月下旬頃から4月いっぱいくらいしかおめにかかることができません。
「スプリングエフィメラル昆虫」は「ビロードツリアブ」がいます。春の妖精「ツマキチョウ」「ビロードツリアブ」をここ川名で観察することができました。
〇ツマキチョウ
年一回の発生です。3月中旬より出現し始め、4月終わり頃まで見られます。翅を閉じたときに見える翅裏は迷彩のような雲状の複雑な模様をしています。成蝶の姿は春しか見られず「春の妖精」と言われています。

ツマキチョウ(オス) 2024.4.2 川名
ツマキチョウ翅裏 2024.4.7 川名

〇ビロードツリアブ

ツマキチョウ(メス) 2024.4.7 川名
ビロードツリアブ 2024.4.4 川名
ビロードツリアブはビロードのような黄色い長い毛に覆われた体に長い口吻が特徴です。ホバリングが得意でまるで空中につり下げられているように見えることから名前がついたと言われています。