【調べてみた】防犯灯 その仕組みと驚きの歴史 その1

「防犯灯」現状をしらべてみた・・

防犯灯 そのおかげで夜遅くの通勤も安心して帰宅する事ができます

きっかけは1通の手紙から
今年の春片瀬山のある丁目の自治会長さんの元に以下のような手紙が市長名で届きました。「自治会の管理する防犯灯の現状変更があったので、市宛にサインをして届けを出して欲しい。」というものです。道路管理の部署からではなく 防犯交通安全の部署からでした。

最初は何のことかよくわからなかった会長さんが各方面に聞きました。故障した防犯灯をLED式に交換したら、その工事をした業者さん→市→自治会という順に書類が回ってくるので受け取ったら『確かにそういう工事があった』という事を確認してサインをすればよい仕組みになっているとわかりました。年度をまたいで会長交代後すぐの書類だったので、まだ良く伝わってなかったのです。でも、考えてみたら工事終了後に申請先の市から教えてもらって改めて市に申請・届け出をする というのも不思議な手順です。「この書類が来たらサインすればよい」と割り切る考え方でもよいのですが、今年の会長さんは、防犯担当役員が「私の手もとの地図は10年前のもので、年々LEDに変わっているし、合っているかも実はわからない~」と言うのを聞き、一度ちゃんと調べよう!と素晴らしい決断をしました。役員で町内の防犯灯の地図をもう一度調べなおしました。こうした経緯で今回防犯灯について「わかったこと」をご紹介してみようと思います。
夜の照明には色々ある
ひとくちに「街灯」と言われる屋外公共空間の照明にも色々あります。我々の身の回りにある代表的なものは以下の3種です。どれも設置目的が違い、管理者も違います。

防犯灯 住宅地の街路 やや暗い
設置管理:地元自治会/町内会
目的:街路での犯罪防止
どこ?:住宅地の街灯はこれ
藤沢市内に約33600個
道路照明灯 道に張り出て明るい
設置管理:市道は市、県道は県
目的:交通の安全確保
どこ?:片瀬山ではメイン道路
 (片瀬山通り線)
藤沢市内に約4400個
公園灯 現在は縦長 明るい
設置管理:市
目的:公園での犯罪防止
どこ?:片瀬山の東西南北、海南各公園

皆さんのご自宅の近くて夜の道路の灯りとして一番普通にあるのが防犯灯です。
一般的な推奨設置条件
また防犯灯の設置には「4m先の人の挙動がはっきりわかる事」ということから必要な明るさが示され、照明の間隔や必要な防犯灯の明るさ等が算出されています。(解説ページ
防犯灯の色々とLED化
今回は町内のどこにどんな種類の防犯灯がついているのか、を調べたわけですが、新しいものから古いもの、壊れかかったものまでさまざまなものがありました。
まずは新しいものからご紹介します。
LED防犯灯 市の補助が10W以下に限られるので基本は10Wです。10Wとは言っても青白くて鋭い光が遠くまで届きます。かつての水銀灯は必要な明るさには40-80W、蛍光灯は20-30Wの消費電力が必要だったので、すごく省エネになっていることがわかります。

電柱に設置されているLED防犯灯
手前:電信柱でなく単独柱についているLED防犯灯 左奥:LED公園灯

明るい時によく見た事が無かったのですが、ちがう機種もあるし、電柱ではなく専用柱に設置する場合もあります。

水銀・蛍光防犯灯 年代ものも多い  水銀か蛍光かの識別はわかりにくい
いずれも年代を感じ、片瀬山50年を感じる事ができました。通常は水銀灯・蛍光灯機器は何回かランプの交換を経ても、機器内蔵の部品の寿命から耐用限界は15年と言われています。海風もあたる片瀬山では錆びや風雨の影響を受けやすいと思います。

塗装がほとんど剥げて全体がさびているが、まだ光るので使われているもの このタイプのものは錆がひどい ランプの下にカバーがないタイプ
少し新しいと思われるカバーが全体を覆うタイプのもの 水銀灯か蛍光灯かはますますわからない

故障しているものも少なくありませんでした。夜消えると気づきやすいのですが、昼間つきっぱなしという故障は気づきにくく、今回かなり見つかりました。一方で故障ではないけれど、かなり限界にきていると言える例もありました。カバー部分の破損で、水銀ランプが横からの風雨にあたるものです。歴史を感じたのが住宅地のできた時から残ると思われる電柱についている照明のプレートが数か所で残っていました。(記事はこちら 分譲最終期パンフレットはこちら

昼もつきっぱなしになっているもの 消費電力的には非常にもったいない 点滅するものもある
カバーの樹脂が壊れていて、むき出しになり風雨が直接ランプに当たると思われるもの

道路照明灯

こちらは防犯灯ではなく、市の管理になるものですが片瀬山通り線の道路沿いの電柱の高い所に道路を照らす方向でついています。同じメイン道路の防犯灯は多くは歩道側を照らす方向に道路照明灯より低い位置についています。目的の違いがわかります。

道路照明灯 根本に大きく数字が書いてあるのが目印 2783と読めます

●それで調査結果はどうなったのか? この丁目だけで 防犯灯は153本 LED87本 水銀・蛍光灯66本(LED化率57%)道路照明灯10本 と判明しました。一部の配置図を下記に示します。水銀灯・蛍光灯もまだ頑張っている様子がわかります。

今回の調査の一部です

現在水銀灯・蛍光灯は新たに設置できない→故障したらLED灯に機器交換中
実は水銀を使う防犯灯ランプは「水俣条約」により、新たな製造販売が禁止され、それ以前から水銀ランプ・蛍光ランプのメーカー生産は終了しています。→日本照明工業会
この条約と省エネの効果を併せて全国で防犯灯のLED化が推進されてきました。

メーカー各社でも機器類の生産が終了しています。 →Panasonic 東芝 上記では蛍光灯との比較になっていますが水銀灯の場合は蛍光灯のさらに2倍くらいなので省エネと言う点ではさらに大きな差になります。

ですから現在は水銀・蛍光ランプがつかなくなると、ランプ交換ではなく機器交換でLED化する事が防犯担当役員には伝えられています。電柱の場合費用三万数千円を市が補助 条件により細かく費用が毎年改訂され、その費用が掲載されたガイドブックが毎年発行されています。このために最近の工事ではどれも最初にご紹介した申請書(機器交換・機器移動について)が必要になります。この工事はこの丁目でも年間5~10件程度あります。次回はこの「ガイドブック」に書かれた内容を元に、自治会が防犯灯をどう管理運営するかのルールについてです。そう、防犯灯は自治会が管理運営するもの なのです!