片瀬山のバスケットゴールは以外な目的で作られていた
何で電波施設が隣接してできているの?
しかしちょっと考えてみて不思議に思いました。「何でわざわざどちらも通信用のインフラである電波塔と反射板(無給電中継所)が隣り合って建てられたの?」 電波塔や反射倍というのは無線局の一種でしょうから何らかの免許がからむはずです。そこで特にマイクロ波のアンテナや中継所について総務省の電波基地局免許のサイトを調べました。例えば、藤沢市のマイクロ波の基地局はここの検索ページで固定基地局、神奈川県、藤沢市で検索すると調べる事が出来ます。
そして、この膨大でわかりにくい基地免許情報を元にわかりやすくまとめて公表してくれているすごいサイト(https://jj1wtl.seesaa.net/ )を知る事ができました。
〇片瀬山の反射板は小田急電鉄が設置したものだった。
まず、次の図がそのサイトにあった2020年11月時点の神奈川県にある無給電中継所(反射板)のリストです。藤沢市には1か所、秦野市に2か所あり、いずれも小田急電鉄のものである事が分かります。
その次に示すのが、東京の通常のマイクロ波無線局・中継局との関係を元に作成した、小田急電鉄の持つマイクロ波のネットワークです(このサイト編集者が免許リストから作成したもの)。これらを通じて、片瀬山の反射板は小田急専用のマイクロ波ネットワークの一部だったということがわかりました。
アンテナの方向を確認してみた
このサイトの内容に基づいて、GoogleEarth等で調べてみると、確かにJR新宿駅南口にあるサザンタワーの屋上に鉄塔が立っていてパラボラが南西(つまり相模大野報告)を向いています。同様に相模大野駅の駅ビルの上にも鉄塔が立っていて、同様に確認すると新宿方向と藤沢方向にパラボラアンテナが向いています。こんな感じで各鉄塔や反射板のアンテナ写真(GoogleEarth,GoogleStreetView)および実際の写真(片瀬山と藤沢駅)ですべてのパラボラアンテナと反射板の方向を確認したのが次の図です。確かにネットワーク図と一致しました。
なぜこのルートなのか?
では、相模大野から秦野に直接電波を送らないでわざわざ藤沢を経由するのはなぜでしょうか?おそらく「双方が見通せる事が必要」と言うのが関係していると思います。この小田急マイクロ波ネットワークの配置場所の位置関係を衛星写真にプロットしてみました。すると地形との関係が良くわかります。
相模大野から秦野に直接電波を送るのは周辺の山地をどう避けるか、乗り越えるかが大変だったのだと思います。秦野盆地から金目川が流れ出る山地の切れ目を狙って藤沢から電波を送り、渋沢丘陵にある小原反射板から秦野駅に伝えています。次に秦野盆地を見下ろす高い標高の「菜の花台展望台」近くの三角山反射板に送り、そこから国府津の山地を越えて小田原駅北のアンテナに電波を飛ばしていることがわかります。
しかし、一方藤沢でも困難がありました。藤沢北部の洪積台地が邪魔をして東京方面から藤沢駅は直接は見通せなかったと思われます。これに対応するための切り札として片瀬山に反射板を設置して藤沢駅に届けたものと思われます。これが片瀬山にバスケットゴールが生まれた理由だと思います。
と、ここまで書いたのですが、藤沢にどうしてもつなぎたかった別の理由があったことが判明しました。(それは次回)
このネットワークは昨年3月に廃局になっていた どうして?
実はこの小田急のネットワークの図は2023年3月末に廃局になっておりました。実際に現在の神奈川県のマイクロ波免許のリストからは小田急のネットワークが出てきません。
そこで色々な手を使って調べた結果も次回ご報告いたします。