【調べてみた】片瀬山巨大バスケットゴールの謎 その1

バスケットゴールみたいなのは何なの?

片瀬山の北に隣接する山にあるあれは何?
片瀬山北公園から隣接する新林公園につながる「ふれあいの道」という林間コースがあります。お散歩コースにしている方も多いと思います。
ここを歩いていると、東電の送電線の横に巨大なバスケットのゴールのようなものが見えます。この道からはゴールを裏側から見たような形です。あれは何でしょうか?

今度は反対側から見てみようと、片瀬のミネベアの工場の前あたりから見てみました。まさしくバスケットゴールですね。

位置関係をGoogleEarthで見ると下記のようになっています。

片瀬山一丁目に隣接したこの巨大バスケットゴールはいつからあるのでしょうか?航空写真を調べてみると1992年にはすでにできています。(2002年のもう少し斜めから写した写真と比べると位置の比較ができます)。だいぶ昔からあるみたいです。

国土地理院航空写真より1992年及び2002年の比較 3つの塔のうち一番北(写真では上)がバスケットゴール真ん中が東電送電塔一番南(下)が電波塔 1992年はまだ電波塔が建設前であることがわかる。南(下のほう)の住宅地が片瀬山一丁目 

現地に行ってみた
現地に行ってみましょう。近くの東電の送電塔下まで行ってみたら、枝道があって、この塔の下まで行くことができました。上を見上げてみたら、やはり大迫力のバスケットゴールでした。アンテナ的なものなら電線が繋がっているはずなのですが、ゴール部分は太いパイプに取り付けられており、そこからは電線等は見えません。電源にはつながってないようです。

正体判明
正体は何?そういえば、ずっと以前に見たテレビ番組で山の上の金属板は電波の反射に使っている というのを聞いたような気がしました。ということで、山の上 反射板 と検索してみると沢山出てきました。これは「無給電中継装置」というのが正しい名前で、マイクロ波(SHF:Super High Frequency)という高周波の電波を反射して受信アンテナにつなぐ役割をする施設である事がわかりました。遠い所の話だと思っていて、こんな身近にあるとは思っていませんでした。
マイクロ波通信というのは1GHz以上の周波数帯の電波を使う通信です。電波の速度は30万km/秒 ♪ ですから、100万(Mega)の1000倍のGigaで割ると、そう波長はたった30㎝です。(今ギガというとGigaByteの意味ですが元々はこの単位の事です。)このくらいの周波数の電波になるとだんだん直進性が強くなり、発信元のアンテナから受信元のアンテナが見えないと伝わりません。だからお互いが見渡せる位置関係で中継局を山の中に作ってバトンを渡すように遠くまで伝えるのです。受診側アンテナが見通せないけど、反射板を置くと伝えられる場合がある時に作られたのが、この「無給電中継装置」です。受信側のアンテナがそこそこ近くにある必要、といった制約がありますが、電源不要の低コストが魅力で建設されました(下図)。日本のように都市間に山がある国では、こうした山を結んでマイクロ波の全国ネットワークが作られました。

この模式図はこちらからの借用です。山上の発信側から山上の反射板を経由して山の下の受信側に電波を届ける例

通信する情報は主に放送電波や電話、さらに道路や鉄道等のインフラを支える情報の伝達手段でした。でした、というのはインターネットの普及で通信量が莫大になった現代では圧倒的な情報量をデジタルで伝えられる光ファイバー網にその主役を譲ったためです。とはいうものの、現在でも携帯電話や電力やガス等のインフラの通信ネットワークの一部としてまだ利用されています。
次回はこのバスケットゴールで伝えていた情報が何だったかを調べる旅です。