最近話題のパルスオキシメーターという小さな医療用計測器具があります。時々利用しているので、使用した感想を報告します。血液中の酸素の状態を知るための測定器です。
購入のきっかけ
昨年5月、離れて東京で一人暮らしする息子が高熱を出し、当然コロナが疑われました。保健所への電話はつながらず、あちこち回った末の病院でようやく、「コロナではない」事が確認されたと聞き、一安心しました。ただ、もし我々(私も高齢者さらに両親と同居)だったらと考えた場合、肺炎の徴候を早くつかむ事が大事だと考えました。それで夏に当時少し話題になり始めたパルスオキシメーターをAmazonで購入しました。
こんな感じで測定します。正常値はどのくらい?
上の写真で、表示の %SpO2 97 が酸素飽和度、PRbpm 82 が脈拍数 下の波形が脈波形を示しています。右の白い(縦に細長い)スイッチを押して電源を入れ、指を挟むだけで測定できます。メーカーの違いはあれど、この酸素飽和度と脈拍数は表示されます。発熱患者に限らず呼吸機能の確認には必ず使われており、体温計と並ぶ大事な測定器になっています。
酸素飽和度の正常値は95以上で、95未満は呼吸機能障害、90を下回る場合は呼吸不全として救急車を呼ぶレベルとの事です。
何をどうやって測定しているの?
:指に光を当てて透過光がどのくらい赤いかを測定している
色々なところに原理が記されていますが、わかりやすそうなものを示します。
超約すると:動脈血液中で「酸素を運んでいる赤血球がどのくらいの割合か」(酸素飽和度という)を測定します。酸素と結びついた赤血球は赤くなりますので、指を通して光を当てて、脈のある時(つまり動脈血が流れた瞬間に)どのくらい血液が赤くなっているか?を測定しています。(→下図 「フォトダイオード」は光を測定するセンサーです)
動脈血が赤くないと、酸素を運んでいない赤血球が多い=呼吸器の異常 を素早く検知できるわけです。自宅待機期間中に「肺機能の低下に気づかず容態が急変」を防ぐ必要性から「パルスオキシメーター」という言葉を聞かない日がない というようになりました。
測定の具体的な手順
電源を入れて、洗濯ばさみ風に少し間を広げて指を挟みます。測り始めてしばらく時間が必要で(10~20秒)、その後測定値が表示されます。指を抜いて一定時間がたつと自動的に電源が切れて表示がなくなります。またこの機種では、対面者や横にいる介護者が読み取りやすいように、電源ボタンを何度か押す事で表示の向きが変わるようになっています。
安定した測定にはちょっとコツが必要
表示される測定値ですが、結構不安定です。私も最初なかなか95に達しなくて焦りました。「パルスオキシメーター」が使えない高齢者がいるといわれるのも無理ないと思います。測定値が不安定になる理由は次のリストが挙げられています。しかし私自身の不都合は、力を入れて指を押し付けていたために、うまく脈波形が検知できなかったり(脈波形がきれいに表示されない)、指上の光源と指の間に隙間ができたからのようです。指を押し付けずに測ると、安定した測定値が出るようになりました。自分の平常時での値を知っている事が大事だと思います。
家族みんなで測ってみると
高齢の両親でも、やり方を注意しながら測定すればかなり安定して測れます。ただ、高齢者の母が一人で使うと、電源スイッチを何度も押して表示が変わったり、指を入れずに表示が出ないので壊れたと思った等、混乱があって、慣れるまでサポートの必要を感じました。
どこでいくらくらいで買えるのか?どれがよいか?品切れも多い
ネット通販(例えばAmazon)でパルスオキシメーターと検索すると、2000円から国産品の数万円までさまざまです。どれがよいのか迷い、「看護師用通販サイト」を見て、そこで扱われている機種のメーカーを選び、そのメーカーの製品をAmazonで1万円以下で探す というやり方をしました。ある自治体の貸与機種も私の購入したメーカーで、ちょっと安心しました。しかし需要激増の今調べると、すでにそのメーカーもAmazonでは品切れのものが多いようです。結局、現時点ではあまり安すぎないけど1万円以下のものから選ぶ という位が適切だろうと思います。国産有名メーカーの数万円のものである必要はないと思います。ただ「日本製」という表示はあまり信用できません。(日本製と表示されている2000円のものがありますが、その値段でできるはずがない) サイトの日本語説明が不自然な文面のところはやめた方がよいでしょう。
一本の訃報記事
昨年4月24日緊急事態宣言下、感染者数の推移を伝える新聞朝刊に小さな訃報が掲載されました。一部の方からはノーベル賞級と言われ、この発明に命を救われた人は数万人と言われています。そして、コロナの感染拡大の中、救われる命は数十万となり、さらに増え続ける事でしょう。この貢献を世界は忘れてはいけないと思います。
パルスオキシメーターの開発史
功績をたたえるお知らせ
(Reported By S)