【片瀬山の自然】初夏 新林公園のチョウ

初夏を迎えた新林公園のチョウ:ゼフィルス4種の観察 上村 文次

シジミチョウ科ミドリシジミ族の蝶を蝶愛好家は「ゼフィルス」と呼んでいます。ゼフィルスとはギリシャ神話に登場する西風の神を意味します。メタリックな輝きを持つ種類もあり、人気があります。新林公園では、このゼフィルスのうちの平地産4種類が生息しており、その全種を観察する事ができました。5月21日にアカシジミ、5月28日にウラナミアカシジミ、オオミドリシジミ、6月4日にミズイロオナガシジミです。
この4種類のゼフィルスの幼虫の食樹はブナ科植物(コナラ、クヌギなど)ですので、雑木林などに生息しています。
年1回(5月中旬から6月いっぱい頃)の発生で、この時期を逸すると、見ることができない貴重な種類の蝶です。蝶愛好家に人気の蝶で、私も大好きな蝶ですが、最近では少なくなっているので 心配です。
〇アカシジミ
裏翅は黄褐色の帯が入っています。尾状突起は黒く、先端が白です。昼間はほとんど活動をしません。樹上や下草に止まっています。

コナラの葉上に止まっているアカシジミ 2023.5.21 撮影 新林公園

〇ウラナミアカシジミ
アカシジミに似ていますが、翅の裏にゼブラ模様をもっています。昼間は葉上でじっとしていることが多いです。クリの開花期に出現する蝶です。出現期はクリの開花期と一致していて、クリの花によく集まります。

ウラナミアカシジミ 2023.5.28 撮影 新林公園
クリの花で吸蜜するウラナミアカシジミ 2023.5.28 撮影 新林公園

〇オオミドリシジミ
オスの表翅はとても鮮やかな色(メタリックグリーン)をしています。翅裏は灰色、白っぽい帯が前後の翅にわたってかかっています。オスが早朝占有性(縄張りを主張する行動)を示して集団飛翔することがあります。

オオミドリシジミ 2023.5.28 撮影 新林公園
オオミドリシジミ  一瞬オオミドリシジミが葉上に止まりました。青みがかったメタリックグリーンの翅表が朝日に輝いていました。2023.5.28 新林公園
オオミドリシジミ卵  卵がコナラの小枝に産み付けられていました。直径は0.9㎜程でした。2023.1.9 新林公園 

〇ミズイロオナガシジミ
翅裏は白っぽく、黒い帯が2本入っている特徴ある斑紋をしています。昼間は下草の葉上に止まっていることが多いです。

下草に止まっているミズイロオナガシジミ 2023.6.4  新林公園
ミズイロオナガシジミ卵  卵はコナラの小枝に産み付けられていました。全体が突起で覆われていて、他の卵にない形をしていました。楕円形で直径は0.9㎜程でした。2023.2.16 新林公園