リュウゼツランが咲いたこの夏の記録
リュウゼツラン という植物は数十年に一度だけ巨大な「花」が咲き、咲き終わると枯れてしまうので、よくニュースになります。片瀬地区でも花が咲いて、子供の頃からの記憶を語る高齢の方の記事がありました。(→藤沢タウンニュース) 実は片瀬山でも、あるお宅で長年かかって育ったアオノリュウゼツランの巨大な花が咲いたのです。場所は片瀬山の西部の一画と申し上げておきます。この花がフィナーレを迎えたこの夏の様子をご紹介します。
こちらにお住まいのHさんの話によれば、このリュウゼツランは前に住んでおられた方が植えたもので、いつどんな経緯で植えられたかはわからないとの事でした。Hさんはこの花茎(花の咲く柱状のもの)の出現からずっと撮影されており、今回快く写真を提供して頂けることになりました。ありがとうございます。では順を追って驚異の成長過程を見ていきましょう。
◆2年前
巨大なアロエのような多肉質の葉が茂っていました。
Hさんのお宅では リュウゼツラン という名前ではなく アガベ と呼んでいたそうです。実はこのアガベというのはリュウゼツラン属に付けられた学名Agaveから来ており、その学名はギリシャ神話に登場する女性にちなんで名づけられました。現代ギリシャでも恋人や大切な人のことを同じくアガべと言うそうです。片瀬山に植えられて約50年くらいと思われますが、英語では別名Century plantともいわれ、長寿の植物として知られます。
◆5月末 まるでアスパラガスのような・・
気がつくと花がつくための茎(花茎)が伸び始めました。この時点での高さは2-3mくらいでしょうか
◆6月16日 みるみるうちに大きくなって花のつく枝が出始めた
◆6月27日 さらに大きくなるとともに花枝が分岐してきた
◆7月10日 いよいよ花のつぼみが出始めた
◆7月26日 下から順に黄色い花が咲き始めた
このようにしてほぼ全体の花枝が揃って全貌が見えてきました。
◆7月28日青空に輝く黄色い花!
こうして黄色い花が下から順に咲き、先が伸びて行って最後に一番上まで黄色くなった頃が、8月16日頃の最初の写真です。「アスパラガス」ができてから約2か月半~3か月かけて、数十年分、数千の小さな花が集合して咲くという感じです。多肉質の葉に蓄えた養分をすべて注ぎ込んで花茎を育て、そこに花を咲かせて、枯れていくのだそうです。この花にはたくさんの虫やコウモリがやってきて、受粉を媒介するそうです。
今回咲いたのは色々な種類のあるリュウゼツランの中の一般的な、アオノリュウゼツランという種類と思われます。前に住んでおられた方には連絡を取る事ができず、残念ながら花が咲く前、片瀬山ができた頃に始まる「リュウゼツランにまつわる物語」は聞く事ができませんでしたが、この花はこの夏見事なフィナーレを見せてくれました。さすが「Century Plant」です。調べてみると通販でも鉢植えで苗を入手する事が出来るようです。皆様のお宅でもこれからの長い物語を始めてみるのはいかがでしょうか。(Reported By W&S)