【始まりを探して】片瀬山防犯カメラシステム-その3

地道な運用により多くの事件で活躍 カメラを更新して今は2代目

2009年9月1日に運用開始してすぐにお手柄をたてた防犯カメラシステムはその後も活躍を続けました。

その後の防犯カメラシステムの活躍
設置後約11年で40件あまりの画像取り出しがあり、その半数近くで事件の解決や証拠として役だったそうです。その都度手続きを踏んで自治会の承認のもと、カメラの画像が取り出されました。導入前に頻発した空き巣事件は大幅に減少しました。その後、画像取り出し件数は年によって大きく変わり、1件もない年もあれば、10件近い年もあります。画像が必要になった事件の種類ではやはり空き巣・窃盗犯が一番多いのですが、案外多いのが交通事故・当て逃げ等で、ひったくり、不法投棄もそれなりにあります。最近では特殊詐欺の現金引出の犯行が毎年発生しています。通常現行犯でないと検挙困難な事件、例えばひったくり犯などでも、映像記録で現場周辺にいた事が証明できるので、防犯カメラが活躍しています。

運用チーム 毎年自治会提出の活動報告統計より 事案数を分類・集計したもの

カメラの運用を支える地道な活動
カメラが設置された2009年のその年の暮、導入チームはその役割を終えました。実際の画像取り出し等の経験を経て、市の運用基準も参考に詳細な運用ルールが定められ、翌年2010年1月1日から新たに運用委員会が設立されました。防犯カメラの利用目的は警察の捜査であるものの、その維持・運用は、自治会が担っているため、それを支える人と仕組みが必要になったからです。

防犯カメラ運用委員会名簿より作成

運用委員会は画像取り出しの承認や立合いにあたる各丁目からの代表者(毎年交代)と、画像取出し作業や普段の保守点検・実績報告等の実務を担当する運用チーム(ほぼ固定5名)で構成され、運用チームは導入チームの一部と5丁目以外からも新たに数人が参加して発足しました。

高い脚立での作業は怖かったそうです

運用チームは警察から画像取り出し要請があれば出動し、カメラの設置してある自治会の管理責任者や取扱い責任者の立ち合いの元、高い脚立を使ってカメラの記憶装置であるハードディスクを取り出して、予備のものと交換するという作業を行いました。多くの事件ではカメラの画像確認は1か所だけではなく、2-3か所の画像確認が必要となります。

また、警察の要請とは別に、しばしばパイロットランプの交換作業、時刻調整、視界確保のための樹木の枝切などもあり、両方合わせると出動回数は十数回にのぼる年もありました。運用チームは多少のメンバーの入れ替えがありながらもこの地道な作業を9年間続けました。運用チームメンバーの方に聞くと、「高所作業は足元も不安定で実はとても怖かった。でも、自分たちが街の安全を支えているという実感はすごくありましたね」とおっしゃっています。

運用体制の見直しとカメラシステムの更新
しかし運用チームの高齢化が進み、高所作業も危ないということになり、2018年4月から運用体制の見直しをする事になりました。運用チームは解散し、そのノウハウをまとめて文書にしたうえで、ハードディスクの画像取り出しの実務は外部業者に委託する事になりました。また、2019年1月富士見坂にカメラが追加され、片瀬山全体で、現在の9か所13台の体制となりました。富士見坂のカメラは景観に配慮して、道路上ではなく個人のお庭に設置させてもらいました。そして、運用体制見直しから1年半を経て、2019年秋、最初に導入された8か所11台のカメラが更新されました。

左 1代目 右 更新後2代目 カメラが小型高性能化し記録媒体がカード化して素早い対応が可能になった

記憶媒体がメモリカードとなり作業が簡単で、自治会のメンバーと警察だけでスピーディな画像取り出しができ費用も安くすみます。補助金の獲得や予算の捻出については、更新プロジェクトの途中で交代する自治会役員間での合意形成などで苦労がありましたが、なんとかそれも乗り越えて更新にこぎつける事ができました。これからの10年近く、片瀬山住宅地の安全安心を守ってくれると期待されています。
街を守るためのバトン
2006年頃から駐在の佐武さんの将来を考えた熱心な提案から始まり、それに答えて2年半にわたり導入設置までを実現した導入チーム、その後の9年にわたって苦労の多い運用にあたった運用チームと自治会防犯組織、運用チーム引退後カメラシステムの更新に尽力された方々とバトンが渡され、防犯カメラシステムは2代目となって今日も私たちの安心を支えてくれています。このプロジェクトにかかわったある方は、「大変だったけど、充実してたなあ」と振り返っておられました。このレポートが、これからの新しい片瀬山の街を生み出すプロジェクトの参考になればと思いました。今回の記事をまとめるにあたって、多くの方に取材協力を頂きました。改めて感謝申し上げます。
(Reported By S)

◆◆◆◆【始まりを探して】シリーズコンセプト
片瀬山ができて50年以上たちました。長い間に少しずつ整備されてきた施設・モノ(ハード)や仕組み・制度・活動(ソフト)等の始まりの時に、どんなことがあったのか、どんな思いがあったのか?今に残るモノ、資料、証言などを調べて伝えることで、その価値や将来について考えるシリーズにしたいと思います。ご期待ください。
【本シリーズからのお願い】片瀬山に関係する古い写真や資料をお持ちの方はお知らせください。例:片瀬山のパンフレット、周囲の様子がわかるスナップ写真、学校・幼稚園・プール・公園等の写真、バス等公共機関等の写真、当時の新聞記事、自治会の資料、卒業アルバム等古いものであればあるほどありがたいです。皆様のご協力をお願いいたします。
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