【行ってみた】ごみのゆくえ 工場見学 その3

分別回収した資源のリサイクルにはさらに人手での選別が必要 

◆資源の受入窓口
分別回収されている資源類のゆくえはどうなっているのでしょうか?私たちがあれこれ迷いながら分別した資源も、改めて汚れや混入した異物を除く必要があり、リサイクルプラザで目視と手選別が行われています。これが大変な作業なのです。破砕工程に続いてこれを見学しました。まず各資源回収車はリサイクルプラザの受入口(「プラットホーム」と呼ばれている→下記写真)の決められた場所に到着します。「特定品目」は屋外のヤードに届けられます。

左:不燃ごみピット、大型ごみ、缶、ビン
右:ペットボトル、プラ製容器受入 の窓口
左の白い箱は缶と同時回収のナベ類入れ、今はプラ容器ホッパー前の所に車が入っている

プラットホームの左側、ガラスびん、缶・ナベ類、多目的ヤードの特定品目・廃食用油はいずれも、異物を除き、分類選別工程をリサイクルプラザで行ない、それぞれの資材会社に送られます。一方紙類や布類は卸問屋に直接送られるので、リサイクルプラザでの作業はありません。

びん選別場
リサイクルプラザの資源化工程見学コースの最初がここでした。そのまま再利用するびん(「リターナブルびん」=ビールびん、一升びん等)を仕分けして、それ以外をガラスの色別に分類します。これらは全部人手でおこなわれています。

コンベアは右から左に流れる中央部で人がビンを色別選別する 右下のエリアでリターナブル瓶の抜取りやリサイクルできないものの除去や粗い分類を行う
誰が何をしているのかわかる説明図が掲示されている。丁寧な画に誇りを感じます。

とても工夫され合理的に選別ラインができていることがわかります。とはいえ、この日も猛暑の日でしたので大変そうでした。
質問Q「作業場の気温は何度ですか?作業服が暑くないですか」
答 A「28℃程度です。従来は長袖だったのですが、最近半そで+腕カバーになったので少し楽になりました。」
ということで少し安心しました。

缶・なべ類の選別場
ここでは缶以外の混入物を除去するのを人が行っています。その人の足もとに、除去された大量のペットボトルやごみがあるのを見て、ため息が出てしまいました。その後に機械で磁石でスチール缶を、渦電流でアルミ缶を選別します。

左奥で人手で異物除去後、手前に流れてスチール缶磁選機に入ります 選別している人の足元に青いネットに沢山の除去されたペットボトルが見えます
スチール缶磁選機 この次にアルミ缶選別機に送られます。
缶・ナベ類の選別フロー 7月講座資料から

ここで説明担当の方からお願いがありました。
「缶はつぶさないでください。磁石とくっついたスチール缶の間につぶしたアルミ缶がはさまるからです。」なるほどです。

特定品目・廃食用油 選別作業ヤード
見学コースの廊下から見下ろす屋外に作業ヤードがありました。ちょうど廃食用油の選別作業がおこなわれているのが見えました。一つ一つ容器の蓋をとって匂いを嗅ぎ、油を取り出している、と聞いて驚きました。

左の入口の奥で廃食用油の選別作業をする人の姿が見える。オープンな場所で特定品目の作業が行われます。

匂いを嗅ぐのは機械油やラードが混入しないようにするためとの事です。こうしたヤードが並んでいて、この横では、電池類、穴の開けられないガスボンベ類、蛍光灯・水銀体温計・・・等の作業が行われます。水銀の処理は北海道のイトムカ鉱山にある工場だそうです。

プラスチック(ペットボトル、プラスチック製容器等系の選別場と中央制御室
次にプラットホーム右側、プラスチック系の選別場を見学しました。ここでも異物を除くための目視と手選別が行われます。選別後圧縮梱包をして、再生や加工する工程に送られます。

こうしたプラスチック系資源と缶やびんの選別工程コンベアラインは資源用中央制御室から状況をモニターされています。この中央制御室で説明を聞くことができました。

資源リサイクル関係の中央制御室の様子

プラスチック系の選別ラインの選別フロー図 いずれもコンベアラインで手選別で異物除去をおこない、最後に圧縮梱包して次の工程を行う工場に送られます 7月講座資料から

中央制御室からはラインの状況がモニターTVで見られます。見学コースからは直接見えにくいです。

左上:缶の手選別 右上:ペットボトル/プラ製手選別
左下:びんの手選別 右下:プラ製選別 の各ライン
左上:プラ貯留室 右上:プラ製容器袋を破りライン投入する装置1 左下:同装置2、右下:同装置3

見学コースからは選別ラインから取り除かれたラベル、キャップ、中身の入ったペットボトルを積んである所が見えます。ペットボトルラインではラベル・キャップがついているものも多く、中身が残ってないか確認も必要です。ガラス等が混ざる事もあり危険なこともあるそうです。

見えている緑色のネットはペットボトル ほとんどがふたがついている
5-60ネット/日を処理しているのは障がいのある人にお願いしています と説明写真が掲示されている

プラスチック容器選別で見つかった異物の展示がすごい
そして廊下の横の展示を見て驚いてしまいました。「プラスチック容器の手選別の中から出てきたもの」という展示で、手選別をする方は手袋をされているのでしょうが、仕分けの途中でケガをしかねない危険がある事を示しています。

「プラスチック製容器」の手選別ラインで出てきた 刃物、工具、医療系廃棄物(注射針等)、電池、電気製品、釣りのルアー等あり得ないものが展示されていました。

◆表彰状やリサイクル材料を使った再生製品について

見学コースの最後には色々な表彰状が掲示されていました。北部環境事業所で管理する、焼却施設、破砕処理施設、資源化施設の運営維持管理は、市が委託した運営事業者がおこなっています。資源化施設では手選別作業での障がい者の方の雇用に取り組んでおり、そうした取組みを早くからしている歴史があって多くの表彰状を各方面から頂いています。また、再生プラスチックの利用の姿として容器や文具での実例の紹介がありました。

行政と関係民間業者と市民が一体になって分別回収によるリサイクルに取組む方式で、全国に先駆けて始まった1970年代、藤沢方式と呼ばれ注目されました。(→JICAによる海外向け日本のごみ・資源処理体制紹介用資料
ペットボトルを再生して作った水容器と、海洋プラスチックごみを主原料にしたボールペンの紹介

質問コーナー
最後にリサイクルプラザの会議室に戻り、色々な質問をさせて頂きました。以下主なものです
Q:今年の夏は暑くて手選別の担当の皆さんの労働環境は大変だったと思いますが、どんな事に配慮されましたか?
A:空調服、スポットクーラーを導入して、休憩+補水をこまめにしています。障がいのある方も18人働いていますが、施設との連携をとって働いてもらっています。
Q:選別作業の大変さを軽減するために自動化等はどう考えてますか?
A:ペットボトルの中に石が入っているとか、様々な異物があり、簡単に自動化ができません。また雇用の問題もあるので、いきなり一気に自動化というのもやりにくいので、慎重に考えています。
見学参加者の感想から:とても沢山のコメントがありましたが、代表的なものを以下に記します。
・廃食用油の臭いを嗅いで確認しているという話にびっくりしました。びんもプラスチックも手選別作業があります。作業されている方のご苦労を感じる事ができたのが、今回の見学で一番価値があったと思います。資源としてリサイクルできるかどうかは私たちのごみ選別にかかっていると思います。
・手選別の作業がとても多く、そこで危険なものがあり暗澹としました。少しの工夫で過酷な作業を削減できるのでは と強く感じました。危険なもの混入を防ぐために継続的に各家庭に注意を喚起する必要を感じました。
・分別したはずの後に人の手が必要で、さらに嗅覚まで使って分別をしている姿に驚きました。暑い中、屋外で廃油の臭いをかぐスタッフさんには頭が下がります。皆様の健康とお給料アップを願ってしまいました。
・小学生は結構見学していると伺いましたが、一番ごみを出す若い世代の皆さんの見学が必要だと思いました。私たちの不注意が手選別の方々に多くの労力を強いていることを目のあたりしました。きれいに洗ってから出して、お手間をかけないようにします。
・収集カレンダー+分類表をよく読んで、家族任せだった分別にもっと積極的に協力していきます。
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【編集後記+お礼】一番苦労している皆さんが、「ルールだから守りなさい」という言い方をせず、理由を丁寧に説明して協力をお願いされるので、申し訳なく思ってしまいました。今回の記事を読んだ皆様が、分別についての認識を深め、そこで働く人達の事を思って頂けるように と思います。今回の工場見学の実現について、説明を頂いた北部環境事業所、資源循環共同組合、藤沢Eサービスの皆様、その他各現場での説明を頂いた環境総務課、環境事業センターの皆様、そして今回の工場見学に参加いただき感想文を寄せて頂いた皆様、皆様のご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
(Reported By S&W)