【MINI取材】大災害 在宅避難の備えを-その2

在宅避難で具体的に困る事とその備え 水・トイレ・食料・カセットガスボンベ等

前回(その1)に続いて昨年12月に行ったインタビューの続きをご紹介します。
ーーーーーーーーー
片瀬市民センター防災担当の方へのインタビュー(続き)
Q 7日間の物資の備えが必要との事でしたが、そのくらいすると避難者への物資が片瀬中学校に届きはじめるという想定だと思いますが、まずはそこに避難している人達に配られ、続いて在宅避難の人に渡る事になると思います。情報伝達や運搬の問題で在宅避難者の末端までに円滑に届きにくい ということはあるのでしょうか?
A 可能性はあります。
C そのリスクも考えれば、在宅避難をする家庭は備蓄は最低7日として、できるならそれ以上を考えておいた方がよさそうですね。
Q 衛生という意味では在宅避難の場合でも、自宅でのトイレの利用が可能かどうかはとても重要なのですが、上水道が止まるとしても、下水道に流せるのでしょうか?
A 上水道が止まるような状況下では下水処理場の機能が停止して、下水道も使えなくなる可能性があります。(つまりお風呂の水でトイレを流すこともできない)。それに備えて下さいというのがお願いです(市からの連絡をお待ち頂きたい)。そのことも考えて、携帯トイレ/簡易トイレ等の準備をしていただきたいのです。
ーーーーーーーーー
という情報を頂いたので、上記のような条件において片瀬山で在宅避難する場合、そこで必要となる具体的な「備え」について、色々な自治体の「在宅避難向けパンフレット類」を参考に調べました。重要なものをご紹介します。詳しくはリンク先資料をご覧ください。

飲料水 水道はすぐには止まりませんが、片瀬山の貯水タンク(腰越配水池)に残った分を放出すると、断水となり、備蓄の勝負となります。成人の場合は1人3リットル必要です。
 備えるべき必要量は 人数 X 3リットルX 想定日数7日 が目安 

埼玉県防災マニュアル(→文末参照)より 例えば4人家族(父母中学生以上の子供2人)なら7日で84リットル!また消費期限の過ぎた水でも、洗い物や手洗い等には充分使えます

片瀬山は1丁目に片瀬配水池があり、そこに残した水を藤沢市南部の住民に給水車で届ける予定になっていますから、比較的給水が行われやすい地域とは思いますが(→片瀬配水池について)、保管できる範囲でできるだけ備蓄しておいた方が良いです。

◆トイレ
インタビューにあったように、処理場が使えなくなったり、下水管損傷の場合は下水道が使えなくなります。(必ず使えないとは限りませんが連絡をお待ちくださいとのことです)。
その場合は「携帯トイレ」あるいは「簡易トイレ」を使う事になります。トイレを我慢する事がとても体に悪い事が知られていますので、これは重要です。携帯トイレ、簡易トイレのいずれでもゴミとしての処理が必要ですが、ゴミの収集は市からの案内がありますので、それまでは敷地内に保留や埋没をお願いいたします。
〇携帯トイレ 凝固剤や吸収シートで固めるタイプのものを携帯トイレと言います。
 備えるべき 必要回数分は  人数X5回X 想定日数 が目安 です。

埼玉県防災マニュアル(→文末参照)
例えば、4人家族なら7日で140枚以上
埼玉県防災マニュアル(→文末参照)

〇簡易トイレ 

埼玉県防災マニュアル(→文末参照)より

ポータブルトイレや介護用トイレ等色々な形式で、トイレのような形式でし尿を集める器具を簡易トイレと言います。し尿を処分するためには、固めて後日捨てる、あるいは庭に埋める 等の方法があります。

食料品はローリングストックで備蓄 
避難所に物資が届き始める時期もはっきりしませんし、せっかく在宅避難なのですから、普段食べているものの中から栄養バランスが良く、保存の効くものを多めに備蓄してローリングストック法(多めに備蓄して、その古い方から消費し、食べた分だけ補充していく)で利用していけばよいです。

埼玉県防災マニュアル(→文末参照)


災害時はまずは冷蔵庫内のものを先に消費し、次に保存食のストックに手を付けます。水と熱源さえあれば、生鮮品を除いて家族の好みや体調を反映した保存食を食べる事が可能になります。どんな食品をストックすればよいか?については文末の「食品ストックガイド」のリンクを参考にしてください。

◆カセットコンロ・ボンベ 

様々な保存食が食べられるようにするには、水と熱源がとても重要になります。ガスは復旧が遅いことも考慮して1か月分程度の確保が安心です。そのためボンベの本数はかなり多くなります。
備えるべき 必要本分は 概ね3-4人の家族で1本弱/1日 1か月で約24本程度です。

照明 電気が復旧するまでの間は夜は暗くなります。そんな中、ささやかな明かりでも精神的な安定をもたらしてくれます。故障や電池の点検は定期的におこないましょう。在宅避難を想定した時は、家族で生活するわけですから、LEDランタン等が便利です。また作業等をする場合を想定するとLEDヘッドライトが両手が空いて便利です。

備蓄リストまとめ 
避難を前提にしたの場合は避難所まで持っていける範囲で備蓄を考えるのに対して、在宅避難では、ある期間暮らせる事を考えます。家族構成や好みも考えた「私の在宅避難」を考えた備蓄リストを考えましょう。その1で紹介した「ふじさわ防災なび」の第2章にとても充実した事前の備えについての備蓄リストがありますので、それをご利用下さい→こちら 必需品、個別事情で必要なもの、あったら便利なもの等に分けて記されています。

次回は外出中の家族等との連絡方法や情報収集のやり方、独居の方、高齢者・妊産婦・小児・持病・障碍等個別事情のある場合の在宅避難の準備についてです。
【今回のまとめ】ーーーーーー
食料・水等の備蓄は最低7日
 食料 ローリングストック法で備蓄 
 発災時は冷蔵庫・冷凍庫のモノを先に消費し、非常食はそれらが無くなってから
 飲料水(1日一人3リットル)X7日

・備蓄活用にはカセットコンロ・ボンベが重要(一家族あたり1日1本 できれば30日)
・下水道が使えなくなる=トイレが流せない可能性有り(市からの連絡待ち)
 →携帯トイレあるいは簡易トイレを使う 1日一人5回想定X7日で準備

 →埋没あるいはゴミ回収まで自宅で保持
・その他の備蓄はそれぞれの事情に合わせて備蓄リストを参照(時間も参照)

ーーーーーー

【参考資料】今回の直接の資料参照元は★必ずご確認下さい。
埼玉県防災マニュアルブック 自宅サバイバル編 ★
  在宅避難に関する備蓄品(水、食料、熱源その他)の様々についての詳しい情報
同 家庭における災害時のトイレ対策編 ★
  トイレに関するさらに詳しい情報
農林水産省 災害時に備えた食品ストックガイド ★
  食料備蓄・水・熱源、ローリングストック法その他についての詳しい情報
ふじさわ防災ナビ 後悔しないために備えよう ★
  とても充実した備蓄リストです。これを参考にしてください。
東京都いまやろう防災アクション 備蓄編 
  備蓄チェックリストをはじめとした備蓄の方法について
横浜市港北区 在宅避難を考える パンフレット
  在宅避難の基本事項・必要品チェックリストを簡潔にまとめています
東京都もしもマニュアル衛生編
  水の保存・運搬、トイレ、おむつ、生理用品の応急対処法他衛生面のノウハウ
東京都もしもマニュアル緊急対処編
  蘇生法、けが(骨折、傷、出血、やけど等)対処、消火、暖を取る・・ノウハウ
東京都もしもマニュアル生活編
  こまごまとした生活面でのサバイバルノウハウ 
NHK明日を守るナビ あなたの自宅を最高の避難所に!
  備蓄品の具体例がわかりやすく説明されています。
災害時にクルマがあれば
  災害時のクルマの活用方法についてのまとめ