22年8月【MINI取材】大災害 在宅避難の備えを-その3

外出中の家族等との連絡や情報収集のやり方+個別に配慮の必要なご家庭での在宅避難とサポートの必要性について

在宅避難でもう一つ問題になる事:家族との連絡、情報入手の方法について
前回(その2)で述べたように、東日本大震災の時、片瀬山の住民の方はほとんどが避難所に行かず、一方で家族に連絡を取ろうと自宅・勤務先・学校等で相互に手を尽くしておりました。家族の安否確認ができない間は、落ち着いて在宅避難の事を考えるのは困難です。そのためにも、家族との連絡方法・情報入手の方法を準備・確認しておくことが重要です。
◆まず電源の確保が大前提
通常の家庭用電源は停電します。また自宅のWiFiは停電では使えなくなります。固定電話も最近の電話は停電になると使えません。連絡や情報入手のための機器(スマホやラジオ)の電源確保が必要です。
・乾電池 一番手軽な情報源はラジオです。使われる電池のサイズを調べてこれもローリングストック方式(補充した分だけ予備電池を購入)で電源を確保しておく必要があります。
・自動車 ラジオも聞けますし、最近のカーオーディオはテレビが見られるので、これも貴重な情報源になります。
携帯電話充電用モバイルバッテリー(下記) 普段持ち歩いているもの以外に非常用のバッテリーを用意して、時々充電しておくと安心です。
USBカーチャージャーで自動車から充電(下記) 自動車のシガーソケットからUSB機器(スマホやタブレット、モバイルバッテリー)に充電できます。長時間の場合はエンジンをかければ自動車のバッテリーは大丈夫です。つまり自家用車(+ある程度のガソリン)があればスマホの充電は心配ありません。車の中に常備して、おでかけの時にスマホの充電機器として利用して慣れるのが良いです。

モバイルバッテリーやカーチャージャ―の例 カーチャージャ―はUSB-C PD出力対応のものも出ており、これで、Apple,Lenovo,Vaio,DellのPCの一部機種に電源充電ができる

防災用ポータブル電源(蓄電池)・カセットボンベ発電機・太陽光発電システム
家庭用の太陽光発電システムは停電時は「自立運転モード」に切り替える事で100Vの家庭用交流電力を取り出せるようになっています。また片瀬山各自治会はポータブル電源や一部ではカセットボンベ発電機を保有しています。

防災用ポータブル電源は市民の家に各町内会で1台ずつ保有し定期的に蓄電しており、災害時には携帯充電等に対応する事ができる(2021年~)→実際に使ったレポート兼マニュアル。カセットボンベ発電機は一部の丁目で保有しています。

◆情報源
一般的なテレビ・ラジオ等以外に地元情報の収集に役立つ情報源は以下の通りです。
〇インターネット
 本ホームページの防災/消防/防犯/警察/ゴミ/資源情報のページに「インターネットでのリアルタイム災害情報源」のコーナーがあります。平常時にそれがどんな情報なのか確認しておくことをお勧めします。

ここには藤沢市関係の災害発生時の情報ポータルやツイッター等のリンクもまとめてあります。NHKプラスやNHK海外放送は災害時は会員登録等不要で誰でも見られるようになります。 ラジオは次に記すレディオ湘南含めてインターネット経由で聞く事ができて、そのリンクも張ってあります。

〇レディオ湘南 FM83.1MHzでは災害時に藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町と連携し緊急放送を実施「給水」「食料の配布」「住民の安全確認情報」「ライフラインの復旧情報」など、きめ細かい情報を提供する事になっています。自家発電による放送送出体制をとっています。→詳しいことはこちら

〇LINE藤沢市公式アカウント 普段から様々な行政情報(例えば今ならコロナワクチン情報等)が提供されていますが、災害発生時はここにも情報が上がってきます。今のうちに友達登録する事をお勧めします。
〇防災行政無線、広報車等 災害時には色々な機器を使わないで音声でも情報提供がされる予定になっています。

◆家族間連絡
LINE等のメッセージアプリのトーク最初の3時間くらいの間にメッセージアプリでの一報を 災害時は膨大な通信需要が発生して、音声通話はなかなかつながりません。スマホでは無事・位置を知らせるのにはLINE等が一般的だと思います。停電となった場合、携帯基地局が蓄電池で動くのは最短で3時間、市役所等公的施設にある基地局で24時間程度です。つまり携帯電話やそれを使うインターネット通信は停電発生直後より、一定時間たった後につながらなくなるリスクが増します。従ってその前に一報を入れておくことで、安否を伝える事が可能になります。 
災害時の携帯各社の対応 NTTdocomo KDDI(au) Softbank 昨年の資料です。(詳しくはこちら
固定電話/携帯電話(スマホ)での災害用伝言ダイヤル(171)の利用 
 固定電話(例えば離れた実家)を含む連絡網が必要になる場合もあろうかと思います。その場合は災害用伝言ダイヤルの利用が適しています。埼玉県防災マニュアルブック 3つの自助編 この中に災害用伝言ダイヤルの利用方法が記されています。
登録した相手の位置情報を知る事のできるアプリがあります(iPhone/iPad/Macなら「iPhoneを探す」というアプリ)。また、Andoroidのスマホアプリにもそうした機能のあるものがあります。

周辺の公衆電話地図 片瀬山内には3か所+片瀬山駅にあります。

お子さんとの間での連絡方法について、色々な場合を想定してよく相談しておく必要があります。
公衆電話は停電時も利用でき、優先的につながります。また最近のお子さんは公衆電話を使った経験がなく、かけ方がわからない という事が起こるので、一度練習してみる事をお勧めします。左の公衆電話地図を動かすことで近郊のすべての公衆電話の位置がわかります。またご両親の携帯の電話番号を覚えていないという事もありえます。
全国の公衆電話地図検索

◆家に帰れない方(帰宅困難者)向け情報提供 平常時に内容確認が必要です。
東京や横浜・川崎等にいる方は、家族に連絡を取った上で、無理をしないで職場や学校にいる方が安全な場合があります。
東京都の帰宅困難者条例の説明パンフレット
同災害防災マップ 左の「表示情報プルダウン」の中に「災害時帰宅支援ステーション」の情報がまとめられています。道路や支援のための施設が地図に示されます。右下の+-で縮尺を拡大縮小して表示します。
神奈川県内各市の帰宅困難者一時滞在施設 神奈川県の対策の中に施設のリンクがあります。
オフライン地図アプリ 携帯基地局がつながらなくなると、Googel等のスマホの地図が使えません。そんな時、このようなアプリを入れておくとGPS位置情報と内蔵地図(県別に必要な分だけダウンロード)で現在地と地図を表示してくれますので、これを頼りに家まで帰ってこれます。

家庭環境に合わせた在宅避難の方法ノウハウ+要支援者へのサポートの必要性
様々な場合がありますが、在宅避難+介護+サポートに使えるノウハウの掲載されている情報源についてまとめました。
〇妊婦さん・小さいお子さんのいるご家庭
 藤沢防災ナビの妊婦さんと乳幼児がいるご家庭編が参考になります。備蓄品リストや医療・授乳に関する情報等が掲載されています。
〇要支援者全般 藤沢市防災ナビ「避難行動要支援者編
 様々な要支援者が避難する時を前提にした準備事項がまとめられています。在宅避難の場合にも参考になる事が含まれています。ただ、これを支援を必要とする方ご自身が準備できるとは限らない と思います。要支援者の各に合わせたわたしの計画」を一緒に作り、災害時にサポートする体制が必要になります。これらは、地域の防災組織やご近所の助け合いが最も生きてくる場面です。それも無理な場合はそうした方用の避難場所が必要かもしれません。重要な今後の検討課題だと思います。
〇高齢者介護・薬を必要とする家族のいるご家庭
介護家族のための災害対策」基本的な災害シミュレーションのやり方等について
 「災害時高齢者の避難の基本とは」在宅避難の場合の準備項目の要点
〇人工透析を受けている方のご家庭 特に在宅非難に限らず必要な事項のまとめです。
 「人口透析患者の皆様へ」神奈川県
 「透析患者災害対策マニュアル」東京都
〇人工呼吸器をお使いの方のいるご家庭 
 「災害時の備え」 7日間の在宅避難を前提に
 東京都医学総合研究所難病ケア看護プロジェクト編 
〇外国人の方のご家庭
 藤沢市 多言語防災ガイド 
  英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語
〇都市部での在宅避難を原則とする仕組みづくり
 要支援者についての支援を普段から仕組みにしておく活動の紹介
 東京都杉並区編

今回のまとめ
・情報の入手と家族間の連絡については、事前に実際に使ってみる事が重要
 ┗まず電源の確保:電池・携帯電話充電用モバイルバッテリー
   車の電源を使えると便利 カーチャージャ等
   防災用ポータブルバッテリーは各自治会にある(市民の家)

    ┗マニュアル兼用 実際に利用したレポート
 ┗非常時の情報源は平常時に一度利用しておく事が大事
┗家族間の連絡方法も相談の上、事前に試しておく事
  携帯は停電後1日程度でつながらなくなるリスクがあるので、3時間程度の間に安否情報の一報は入れておく事
・様々な状況(帰宅困難、携帯基地局不通でも使える地図の利用)に応じた方法を用意
・家庭環境に合わせた在宅避難の方法やノウハウを事前に調べて万一に備えた計画を立てておく(妊婦、子供、高齢者、その他要支援者、外国人等 これらの情報源あり)。またこれらの作成サポートと発災時のサポートの体制も重要


【取材・編集者感想】昨年末に取材を開始して、あれこれ試行錯誤しながらまとめてきた記事です。自治会、防災会、近隣ネット、社協、ご近所との普段のおつきあいの在り方、そして家族の中でのコミュニケーション、と様々な事が総合的に関係してくるのだとつくづく思った次第でした。

(Reported By K,M,MA,W,S)